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当社は,ホームページ等の制作を業務としています。当社では,お客様から注文を受ける際,「ホームページ制作業務委託契約書」を作成していますが,その際,注意すべきことはありますか。
委託業務の内容の特定や著作権の扱い等に注意して契約を行う必要があります。
1 委託業務の内容の特定及び追加業務の扱い
まず,今回の業務内容を正確に特定しておく必要があります。今回の発注内容は,制作業務のみか否か(制作後の保守管理も含むか),仮に制作業務だけだとしても,そこにどのような業務まで含まれるのか(制作するページ数や,SEO対策まで含めるか等)を可能な限り具体的にしておく必要があります。その際,分かりやすさを確保するため,別紙として仕様書等を添付し,そこに業務内容を記載するとよいでしょう。
また,このように委託業務の内容を特定するとともに,そこに含まれていない業務で今後必要となった場合には追加で費用が発生する業務(以下「追加業務」といいます)も,可能な限り列挙しておくことが望ましいです。この追加業務をめぐってはよくトラブルとなることが多く,そのため,追加業務の必要が生じた場合の手続(予め見積書を作成し,それを注文者が確認し承諾する旨の書面やメール等を送信してはじめて追加業務に関する契約が成立する等)についても定めておくことが肝要です。
2 検収の完了時期
次に,ホームページ制作業務は,注文者が成果品であるホームページを検収することをもって終了することが一般的です。そして,制作業務の報酬金全額又は残額の支払時期として,この検収完了月の月末等が定められることもあり,そのため,この検収の完了につき明確に定めておく必要があります。
例えば,注文者が成果品を受領後7日以内に特に瑕疵が存する等の通知を発しなかった場合は,その時点をもって検収が完了したものとする定め等が考えられます。なお,その際には,制作会社が対応する瑕疵修補の範囲もあわせて定めておくことが望ましいです。
3 著作権の取決め
次に,制作会社により制作されたホームページやシステムのプログラムには著作権が発生し,それは,まず制作会社に帰属します。そのため,注文者は,そのプログラムを制作会社から譲り受けるか,利用許諾を受けなければ,自由にそのプログラムを使用することができないこととなります。
そこで契約書においても,著作権を譲渡するか,または利用許諾を行うかをまず明確に定める必要があり,仮に譲渡するのであれば,譲渡対象の特定(制作会社が従前から有していたプログラム構成品等は除く等)を行う必要があります。
4 ホームページ等の制作業務委託契約においては,以上の点に注意して契約を行う必要があります。