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突然、労働組合の書記長と称する人が弊社の事務所に来て、弊社の従業員が労働組合に入ったので、団体交渉に応じるようにとの書面を置いていきました。ほとんどが弊社に関係ない組合員で構成された労働組合との交渉に応じる必要はあるのでしょうか。団体交渉での注意事項はありますか。
団体交渉には応じる必要がありますが、常に譲歩しなければならないものではありません。
労働組合とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいいます(労働組合法2条)。労働組合の種類としては、職業別組合、産業別組合、一般労働組合、企業別組合、合同労組などがあります。今回、団体交渉を求めてきたのは合同労組というものであり、1人でも加入できる労働組合です。
そして、1人の従業員以外は全く関係ない組合員で構成された労働組合からの団体交渉申し入れにも応じる必要があります。これに応じないと不当労働行為となり、損害賠償義務が発生する可能性があります。
では、団体交渉における注意事項を説明します。
まず、団体交渉においては、誠実に対応する義務があります。労働組合の主張を聞き、必要に応じて資料を示すなどして具体的な回答をする必要があります。しかし、労働組合の要求に応じて合意する義務まで負うものではありませんので、交渉が決裂することになって構いません。したがって、会社側も主張すべき事はしっかりと主張してください。次に、労働組合の勢いに押され不用意に組合の要求に応じるといったことを言わないようにしてください。団体交渉の場で約束したことは労働協約となり、その約束に拘束されることになります。
また、労働組合に加盟して団体交渉を行っている従業員について、そのことを理由に不利益に扱ってはいけません。これについても不当労働行為となってしまい、損害賠償義務が発生する可能性があります。
以上のことに気をつけつつ団体交渉に応じてください。