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買掛金につき債権譲渡がなされたとして知らない会社から支払を求められた場合の注意点

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  • 買掛金につき債権譲渡がなされたとして知らない会社から支払を求められた場合の注意点

    販売業を営む当社は,メーカーであるA社から継続的に商品を購入していましたが,突然B社から,A社の当社に対する売掛債権を譲り受けたので,B社に直接支払うよう求められました。当社としては,どうしたらよいでしょうか。

    債権譲渡禁止特約の有無や自社からA社に対する債権がないか等に注意する必要があります。



     自社の買掛金につき,ある日,突然,全く知らない会社(B社)から,債権担保を目的として当該買掛先(A社)から債権譲渡を受けた,既に債権譲渡登記を登記済みである,ついてはこちらに買掛金をお支払いいただきたい旨の通知及び登記事項証明書の交付を受けることがあります。主には,当該買掛先が信用不安に陥った際に行われることが多いです。その場合,会社として,次の点に注意しながら対応する必要があります。

    1 債権譲渡禁止特約の存否
     まず,自社とA社との間で,商品購入の継続的売買契約(以下,「本件契約」といいます。)を締結した際,A社の自社に対する債権を第三者に譲渡してはいけない,いわゆる債権譲渡禁止特約を合意していなかったかを契約書等で調査する必要があります。仮にこのような特約があれば,自社は,原則として,A社に対し商品代金を支払えば足ります。ただし,第三者であるB社が,当該特約の存在を知らず,かつその知らないことにつき重大な落ち度(重過失)がなければ,自社としては,B社に当該特約を主張することができず,B社に代金を支払う必要があります。

    2 相殺の主張の要否
     次に,仮に自社がB社に商品代金を支払う必要があるとしても,自社がA社に対し,反対に金銭債権を持っている場合,自社としてはどのように対応すべきでしょうか。例えば,自社からA社に対し本件契約時,取引保証金を差し入れていた場合が考えられます。この場合,自社としては,B社の請求に対し,A社に対する同取引保証金返還請求と対等額で相殺する旨の主張をすることが一般的に可能と考えられています(ただし,このような相殺の主張ができる場合に一定の制限をかける考え方も存在します)。自社は,この相殺により,B社に対しては,同取引保証金の金額を超える商品代金のみ支払えばよいこととなり,実質的には,同取引保証金をA社から回収できたことになります。もっとも,自社が今回の債権譲渡に関して,A社またはB社に対し,この相殺の点を留保せずに承諾をした場合(いわゆる異議をとどめない承諾した場合),自社はB社に対し上記相殺の主張をすることができなくなるため,その点は慎重に対応する必要があります。

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