今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
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昨今の不況により売上が減少し,自己破産の申立を考えているのですが,実際に事務所を閉めて,取引先や従業員へ破産の連絡をするという流れが想像できません。具体的にはどのような流れになるのでしょうか。
弁護士に相談を行って「Xデー」を設定し,それに向けて事前準備をしていくことが肝要です。
会社・事業者が自己破産を行う際には,弁護士に裁判所への申立手続を依頼することが通常ですが,あまりにぎりぎりに相談すると準備が間に合わないので,最低でも資金が詰まる2週間前(できれば1カ月以上前)には相談することが肝要です。そして,「Xデー」(本社事務所を閉め,破産手続に入ることを外部に発表する日)を設定し,それに向けて,資料の作成や解雇通知書・債権者宛ての通知書の作成・封入など,弁護士の指示に基づく事前の準備をします。
Xデー当日は,就業後に全従業員を集め,会社が自己破産の手続に入ることを発表するとともに,事前に作成しておいた解雇通知書や離職票,最後の給与を手渡します。そして,本社事務所を施錠した後で(弁護士作成の告示書を入口に貼りつける場合もあります),弁護士事務所を訪れ,当日打ち合わせや資料の引き継ぎ等を行います。また,事前に封入済みの債権者・取引先への通知書をその日のうちに発送し,翌日には相手方に到達するようにします。
翌日には,債権者・取引先に一斉に上記の通知書が届き,あるいは本社事務所に貼り付けられた告示書を見たということで,会社や社長宛てに電話がかかってくると思われますが,それらについては弁護士が対応しますので,自ら対応する必要はありません。その後は弁護士との打ち合わせを重ねながら,裁判所に提出する書面を随時作成していくこととなりますが,本社事務所には近づきにくい場合もありますので,必要なものは事前に持ち出しておくことが重要です。
もちろん,会社の規模や事情によっては,もっと穏当な進め方で足りる場合もありますが,以上が自己破産申立をする場合の典型的な流れだとお考えください。
「なお、近時は『経営者保証ガイドライン』を利用して、会社は自己破産しても、連帯保証人である経営者個人は私的整理を行って自己破産を回避するという方法もあります。どのような手続が最善なのかは弁護士ともよくご相談ください。」
(回答日:2024年10月31日)