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判決までとりましたが,支払ってきません(強制執行の方法は?)

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  • 判決までとりましたが,支払ってきません(強制執行の方法は?)

    売掛金を支払わない業者がいたので,裁判をして判決までとりました。しかし,それでもまだ支払ってきません。会社自体はまだ営業をしているようなので,何とか回収をしたいと思いますが,どうすればいいでしょうか。

    判決に基づく強制執行手続を行うべきです。その方法としては,①債権執行,②動産執行,③不動産執行,④自動車執行の方法などがあります。


     裁判所の判決は,請求する権利を国が認めたものに過ぎず,それだけでは当然に相手から回収をすることができません。判決が出たのに,なお支払いをしない場合には,判決に基づいた強制執行手続が必要になります(なお,強制執行手続は,判決のほか,和解や調停,公正証書などに基づいても行うことができます。)。
     強制執行手続の方法としては,大きく分けて①債権執行,②動産執行,③不動産執行,④自動車執行の方法があります。
     ①の債権執行とは,預金債権や売掛債権など債権を差し押さえる手続をいいます。預金の存在など差し押さえるべき債権が分かっていれば,一番簡便で実効性のある手続です。
     ②の動産執行とは,機械や自動車(但し,軽自動車や自動車登録ファイルに登録のない自動車に限ります。),什器・備品などの動産を差し押さえる手続をいいます。通常動産はほとんど値が付きませんので,高額で売却できる機械がある場合などを除いてあまり実効性がある手続とはいえません。
     ③の不動産執行は,具体的には強制競売の方法,すなわち,不動産に対して差押をして競売にかける手続をいいます。不動産は一般に高額ですので,回収可能性としては最も確実な方法といえます。しかし,すでに担保が設定されている場合など,競売をしても配当を得られる見込みがない場合には競売手続が取り消されてしまいます。また,不動産の競売手続は鑑定費用などのために高額の予納金を納める必要がありますので,手続が煩雑で費用もかかります。
     ④の自動車執行は,自動車登録ファイルに登録のある自動車(道路運送車両法13条1項に規定する登録自動車)に対する手続であり,不動産の場合と同じく,自動車に対して差押えをして競売にかける手続となります。自動車執行の場合も,不動産の場合と同様,余納金を納める必要があります(大阪地方裁判所の場合,自動車1台につき10万円とされています。)。他方,裁判所の自動車に対する査定は,一般的にとても低く,また,駐車場代金なども必要となることから,新車あるいは新車並の自動車でないと,費用倒れに終わる場合もあります。
     以上のとおり,強制執行手続にはそれぞれメリット・デメリットがありますので,対象となる相手方の状況を調査した上,弁護士などの専門家と十分相談して方法を選択する必要があります。

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