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雑誌の購読勧誘に伴う契約上のトラブル

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  • 雑誌の購読勧誘に伴う契約上のトラブル

    訪問販売員が来て,定期購読雑誌の見本誌を置いて帰ったのですが,その際,受領書に判が欲しいというので会社のゴム判を押したところ,その後,その書面を持ってこられ,雑誌購読の申込があったとして購読料を請求されました。支払う必要があるのでしょうか。

    1.契約が成立していなければ,料金支払いの必要はありません。

     (1) 契約は、当事者双方の意思が合致して成立します

     契約は,一般に申込と承諾により成立します。当事者双方の意思が合致して初めて契約は成立します。契約が成立するためには,書面によることは必要ではありません。口頭であっても合意が成立すれば契約は成立します。

     (2) 本件では、契約は成立していないと考えられます

     本件では,雑誌の販売員が見本誌を置いて帰ったということですから(法律上,申込の誘引と考えられます。),改めてあなたの方から雑誌の購読の申込をすれば,契約は成立することになります。しかし,あなたが,購読の申込をしなければ,契約は成立しません。
     本件では,受領書にゴム判を押したということですが,受領書が単に雑誌の預かりを証明するものであれば,契約書とはいえませんし,口頭による契約の成立ともいえません。
     また,もしかりに,契約の申込書といえるような書面に,販売員のいうまま単に見本誌の受領書と見誤ってゴム判を押したとしても,そもそも購読の申込ではありませんから,契約は成立していません(ただし,訴訟上,購読の申込でないことを証明しなければならない可能性はあります。)。単に,ゴム判による記名捺印だけで,押印がなければ,通常契約書としての様式を欠いているともいえるでしょう。従って,そのことを理由に料金の支払いを拒絶することも可能です。


    2.契約が詐欺を理由とする取消しとなれば,料金支払いの必要はありません。

     書面上雑誌の購読契約が成立しているかのような外観ができあがっている場合,契約の不成立を証明することは難しくなります。しかし,このような場合,一応,契約は成立していることになりますが,相手方は雑誌の見本誌を置いて帰るような素振りをして,書面に記名させているわけですから,詐欺を理由に契約を取り消すことが可能です(民法96条1項)。
     相手方の勘違いをことさらに利用するような行為は詐欺に該当するといえます。ただし,詐欺が行われたといっても,そのような契約が当然に無効となるものではありません。契約自体は成立したものとみなされますが,だまされた相手は,そのような契約を取消しできる権利を持つということです。ですから,あなたは販売者に対し契約の取消しを主張することができます。


    3.契約が錯誤を理由とする無効となれば,料金支払いの必要はありません。

     契約を締結する際に,契約内容の重要部分を錯誤していたような場合は,契約は錯誤を理由に無効とされます(民法95条)。
     あなたは,単に見本誌の受領書だと思ってゴム判を押したのですから,書面の認識を誤ったものといえます。従って,そのような認識で契約書の外観が作られたとすれば,あなたはまさに重要部分につき錯誤したまま契約をしたことになりますから,契約は無効であると相手方に主張することができます。


     相手方からの要求に対しては,毅然として拒絶する態度が必要です。そこで,以上のような契約の不成立,詐欺による取消しあるいは錯誤による無効の意思表示は,内容証明郵便で行って下さい。
     あなたが断固として拒絶する態度をとっていると相手方はどこかで和解の話を切りだすかもしれません。しかし,和解条件にもよりますが,和解の話にも応じないという強い態度が必要です。




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