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海外取引のための価格設定の仕方と留意点について教えてください。
引渡場所、流通経路、決済方法、建値、競合品、適正利益、マーケティング費用などを加味して設定します。
海外取引において価格設定する場合、次のことに留意してください。
1.商品の引渡し場所を決める。
商品の引渡し場所は、国内の工場、倉庫、輸出港、本船および海外の輸入港、倉庫、店舗など、いろいろあります。引渡し場所によって価格設定に含まれる費用や粗利益が異なります。
2.商品の流通経路・形態を決める。
商品の流通経路・形態によって、流通コストが異なります。直接販売する場合、多くの業者を経て販売する場合、コンテナに満載して輸送する場合、他社製品と混載して輸送する場合、海上輸送、航空輸送などによってコストが変動します。
3.決済方法を決める。
決済方法や決済期日によって、金利や回収リスクが異なります。
4.決済通貨を決める。
円建てとするか外貨建てとするかによって為替リスクが発生し、銀行の取扱手数料が変わります。
5.競合品の価格を調べる。
通常、どこの市場でも競合品が存在します。国産品、日本からの輸入品、海外からの輸入品などが混在しています。それらを調べて、適切な価格を設定しなければなりません。購入者は常に競合品同士を比較して購入しますが、購入の判断材料は、品質、ブランド、機能、原産国、使いやすさ、ラベル表示などとともに価格が重要な要素です。
6.業者に適切なマージンを確保する。
海外取引において、自社から海外のバイヤーに直接販売する(あるいは海外のサプライヤーから直接購入する)場合を除くと、流通過程で、輸出業者、輸入業者、倉庫業者、輸送業者、ディストリビューター(卸業者)、小売業者、ブローカー、販売代行業者など、さまざまな業者が関わる場合が多くあります。一般的に流通経路の鎖は短いほうが流通コストを抑えることができますが、商品の種類、数量、市場、販路などによって、多くの業者の手を経なければ販売に至らない場合も多いです。
商売である以上、自社の利益を追求するのは当然ですが、自社の利益のみを求めて、関係業者の利益を考慮しなければ、商売は成立しませんし、仮に最初は無理して成約しても長続きしません。言葉で言うのは簡単で、実際に実行するのは容易ではありませんが、関係者全員が相応の利益を享受できるような価格設定が望まれます。
7.価格にマーケティング費用を含める。
海外で販売するには、市場調査、海外出張、外国語の商品案内・HP作成、宣伝広告、展示会出展、販促活動などのマーケティング投資が欠かせません。これらの費用を価格に含める必要があります。
8.移転価格税制。
とくに、海外企業と資本関係がある場合は、価格設定に注意が必要です。