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会社を設立するとき、出資者(株主)の割合をどう決めればよいのか、押さえておくべきポイントを教えてください。
経営を安定させるには「議決権3分の2」の確保が重要です
◆議決権とは?
議決権とは、株主が会社の重要な決定に参加できる権利のことです。
株式を持っている割合に応じて議決権も与えられ、株主総会で「賛成」「反対」を示すことができます。
◆議決権の割合とできること
株式の保有割合によって、会社でできることが変わります。
『1%以上』… 株主総会で「この議題も扱ってほしい」と提案できる
『3%以上』… 会計帳簿を見せてほしいと請求できる
『1/3超』… 定款変更や合併など「特別決議」を阻止できる
『50%超』… 通常の決議(役員選任など)を成立させられる
『2/3超』… 定款変更・解散・事業譲渡など重要な決定を自分の意思で決められる
このため、『3分の2以上の議決権を持てるかどうか』が経営権を握る上で非常に重要になります。
◆出資者を入れるときの注意点
会社を始めるとき、資金を集めるためにビジネスパートナーや親族から出資してもらうこともあるでしょう。
しかし株式を渡すということは「議決権を分ける」ことを意味します。安易に株式を分けすぎると、自分が思うように会社を動かせなくなるリスクがあります。
◆工夫できる方法
「議決権は自分が確保したいけれど、資金はパートナーから出してもらいたい」という場合には、次のような方法もあります。
『議決権のない株式(種類株式)を発行する』…配当は受けられるが議決権はない株式をパートナーに渡すことで、資金を受け入れつつ経営権は自分が持ち続けることができます。
◆まとめ(注意点)
・株主構成は「資金」だけでなく「議決権」をどう分けるかがポイント
・経営を安定させたいなら、議決権の3分の2以上を確保することが理想
・出資者に株式を渡す際は、将来の意思決定に影響することを理解しておく
・種類株式などの仕組みを使えば、資金調達と経営権の維持を両立できる
このように、株主構成は「お金の割合」だけでなく「会社の意思決定の力関係」に直結します。制度を知らずに決めてしまうと、思わぬところで経営の主導権を失ってしまうこともあります。設立時こそ慎重に考えるようにしましょう。
会社設立について更に詳細を知りたい方は、ぜひ経営相談室をご利用ください。
(回答日:2025年10月6日)