今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
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M&Aを考えています。株式譲渡と事業譲渡という方法があると聞きましたが、それぞれの違いを簡単に教えてください。
株式譲渡は「会社を丸ごと買う」方法、事業譲渡は「欲しい事業だけを買う」方法、とイメージすると違いが分かりやすいです。
◆株式譲渡の特徴
株式譲渡は、売り手会社の株主が持っている株を買い手に渡す方法です。会社そのものが移動するため、買い手から見ると「売り手会社を子会社にする」イメージです。
『手続きが簡単』…合併など他の方法に比べて会社法上の手続きがシンプルです。
『見えない債務も引き継ぐ』…未払い残業代や将来発生する可能性のある損害賠償など、帳簿に載っていない債務も受け継ぐリスクがあります。
『許認可はそのまま引き継げる』…事業主体が変わらないため、既存の許認可は基本的にそのまま利用できます。
『登記の手続きはほぼ不要』…株式譲渡自体では登記は必要ありません。ただし、役員交代などが伴う場合は登記が必要です。
『資産名義の変更は不要』…会社そのものが引き継がれるため、資産や契約の名義変更は原則不要です。看板やホームページもそのまま使える点は大きなメリットです。
◆事業譲渡の特徴
事業譲渡は、売り手会社が持っている事業の全部または一部(資産・負債・ノウハウ・知的財産など)を買い手に渡す方法です。「欲しい部分だけ切り取って買える」イメージです。
『柔軟だが手続きは複雑』…必要な事業だけ買うことができる反面、個別の資産や契約ごとに移転手続きが必要です。
『簿外債務を避けやすい』…不要な負債を引き継がなくて済むため、リスクを限定しやすいです。
『許認可は原則引き継げない』…多くの場合、買い手側が新たに許認可を取り直さなければなりません。
『商業登記は不要』…株式譲渡と同様、組織再編の登記は不要です。
『資産名義の変更が必要』…不動産や契約、従業員の雇用契約などを一つずつ移し替える必要があり、コストと時間がかかります。
事業承継やM&Aをお考えの方は、状況に合った方法を選ぶことが大切です。具体的な検討には、ぜひ経営相談室をご活用ください。
(回答日:2025年10月6日)