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労働基準監督署が立ち入り調査を行うことがあると耳にします。どのような内容なのでしょうか。
使用者に労働基準法を遵守させる役割があります。
労働基準監督署の立ち入り調査は、労働基準法などの関連法令が事業場で遵守されているかを確認するために行われるものです。この調査は「臨検監督」と呼ばれ、労働基準監督官に与えられた権限に基づき、事業場に立ち入り、帳簿や書類の確認、関係者への質問などが行われます。
【調査の種類】
調査には主に以下の3種類があります。
●定期監督: 労働基準監督署が年度計画に基づき、特定の業種や事業規模の事業場を対象に定期的に実施するものです。
●申告監督: 従業員からのサービス残業、賃金未払い、ハラスメントなどの申告を受けて行われる調査です。
●災害時監督: 労働災害が発生した事業場で、原因究明や再発防止のために行われるものです。
【調査の流れと内容】
調査は、原則として予告なく行われることが多いです。監督官が事業場を訪問し、責任者(社長や人事担当者など)に身分証明書を提示して調査を開始します。
主に確認される項目は以下の通りです。
●労働時間: 出勤簿等の勤怠記録を確認し、時間外労働の状況をチェックします。
●賃金: 賃金台帳や給与明細を確認し、最低賃金の遵守や割増賃金が正しく支払われているかなどを調べます。
●労働条件: 労働契約書や就業規則、36協定が法令に沿って適切に作成・運用されているかを確認します。
●安全衛生: 労働者の健康診断の実施状況や、職場の安全な環境が確保されているかをチェックします。
【調査後の対応】
調査の結果、法令違反が認められた場合、監督官から是正勧告や指導票が交付されます。事業場は指定された期限までに改善策を実施し、「是正報告書」を提出する必要があります。是正勧告に従わない、または悪質な違反が判明した場合は、送検されることもあります。
立ち入り調査を拒否したり、虚偽の申告をしたりすると、30万円以下の罰金が科されることがあるため、日頃から労働関連の書類を適切に管理しておくことが重要です。
(回答日:2025年10月1日)