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売上は順調に伸びているのに、なぜか資金繰りが厳しく感じます。黒字でもお金が不足するのはどうしてでしょうか?
売上と資金繰りの関係にはタイムラグや固定費・返済条件など複数要因があります。
売上が順調に伸びているにもかかわらず、資金繰りが苦しくなることは決して珍しくありません。その理由はいくつか考えられます。まず代表的なのは「売上の回収サイクル」と「仕入れや経費の支払いサイクル」の違いです。たとえば、商品を売った代金が入金されるのは2か月後なのに、仕入代金の支払いは翌月に発生する場合、売上は伸びても資金は一時的に不足します。
また、売上に比べて固定費(人件費や家賃など)が過大である場合、資金繰りを圧迫します。さらに、新規設備や事業に対する投資を先行して行いすぎると、売上がついてくる前に資金が枯渇することもあります。加えて、金融機関からの借入金の返済スケジュールが事業の実態に比べて厳しい場合も、キャッシュフローを圧迫する要因になります。
こうした点に加えて、中小企業ならではの注意点もあります。中小企業は大手に比べて取引条件で不利になりやすく、入金は遅く、支払いは早いという状況に陥りがちです。また金融機関からの資金調達に依存する割合が大きく、普段から信頼関係を築いていないと、いざという時に資金手当てが難しくなるリスクもあります。
こうした状況を改善するために大切なのが「資金繰り表」の作成です。資金繰り表をつくることで、毎月の資金の入りと出を見通すことができ、資金不足が予想されるタイミングを事前に把握できます。そうすれば、あらかじめ金融機関に相談したり、支払条件を見直したりといった対策を講じることが可能です。
資金繰り表を眺めることで、自社の資金繰りを苦しめている要因が「売上代金の回収の遅さ」なのか、「投資支出の先行」なのか、「借入条件の厳しさ」なのかを明確にできます。原因がわかれば、その部分に的を絞って改善していくことができます。
売上が伸びている時期こそ資金繰りの管理が重要です。資金繰り表を活用し、安心して事業を拡大できるよう備えていきましょう。
(回答日:2025年10月1日)