今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
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稼働していない機械があるのですが、受注するには、値引きが必要な状況で、会社全体の粗利率が下がります。受注しない方がいいですか?
粗利率は大事ですが、最終的には粗利額で判断しましょう。
1.粗利率とは
会社の粗利率を意識して経営されていることは素晴らしいです。
粗利率の定義はいろいろあるのですが、ここでは、以下のように定義します。
粗利=売上-(材料費+外注加工費)
粗利率=粗利÷売上×100
上記からわかる通り、粗利とは、売上から社外流出費用を除いた、「実質的な収入の金額」です。
同じ売上でも、粗利額が大きければ、人件費や固定費を支払った後の利益を確保しやすく、粗利額が小さければ、そこから、人件費や固定費を支払った後の利益の確保が困難です。
一般に業績のよい会社の粗利率は、業界平均値よりも高く、業績のよくない会社の粗利率は、業界平均値よりも低いです。
なので、会社の粗利率を下げないように適正見積や内製化、歩留率アップのための工程管理等を行うことは非常に重要です。
2.粗利率か?粗利額か?
では、上記を大前提として、今回の質問について考えてみましょう。
「稼働していない機械があり、受注するには、値引きが必要な状況で、会社全体の粗利率が下がる」状況とのことです。
稼働していない機械があるということは、生産キャパに余裕のある状況と判断できます。この機械を稼働させることで、追加の売上を上げる事ができれば、粗利率が下がったとしても、粗利額自体は伸ばすことが可能です。
会社が利益を出すために必要なこと。それは、会社全体の粗利額を固定費よりも大きくすることです。
・粗利額 > 固定費 のとき : 黒字
・粗利額 = 固定費 のとき : 損益分岐点
・粗利額 < 固定費 のとき : 赤字
つまり、粗利率と粗利額、より重要であるのは、粗利額です。粗利率を重視するのは、粗利額の確保のための基準値としての役割です。
より粗利率の高い仕事が受注できるのであれば、その仕事を優先するべきですが、機械が遊んでいるのだとしたら、粗利率が多少低くても受注した方がいいでしょう。
粗利率を見るのは、粗利額の確保のためです。より大事なことは必要な粗利額の確保です。
(回答日:2024年8月22日)