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相続・生前贈与の税制改正を受け、暦年贈与と精算課税贈与のどちらを選択する方が有利か、判断基準について簡潔に教えてください。
贈与者の年齢や体調、贈与財産のボリュームや承継スケジュール等を踏まえ最適な方法を選択しましょう。
まず初めに、暦年贈与と精算課税贈与との有利不利の判定が必要な方は、下記[暦年贈与][精算課税贈与]両制度の適用対象者です。
よって、配偶者への贈与や年齢基準を満たさない者同士の贈与の場合、検討の余地なく暦年贈与一択になります。※養子縁組をした場合等の例外を除く。
[暦年贈与の適用対象者]
贈与者:制限なし
受贈者:制限なし
[精算課税贈与の適用対象者]
贈与者:贈与年の1月1日において60歳以上の父母、祖父母
受贈者:贈与年の1月1日において18歳以上の推定相続人及び孫である直系卑属
両制度の判断基準のポイントは2点あり、1点目は生前贈与加算の持ち戻し期間、2点目は生前贈与加算の加算対象額で以下の通りです。
[持ち戻し期間]
暦年贈与 :相続開始前7年以内の贈与
精算課税贈与:当制度選択後の全ての贈与
[加算対象額]
暦年贈与 :贈与財産の額(相続開始前3年超部分はマイナス100万円)
精算課税贈与:贈与財産の額-基礎控除(年110万円)
これらの両制度の違いに加え、当事者ごとの要素(贈与者の年齢や体調、贈与財産のボリュームや承継スケジュール等)を踏まえ検討する事になります。
一般的には、贈与が多額で贈与期間(相続発生までの期間)が長い場合は暦年贈与が有利、贈与が少額で贈与期間が短い場合は精算課税贈与が有利になり易いです。
しかし、これらの判断は非常に個別性が高く、税額等への影響が大きい為、安易な判断は禁物です。
具体的には、相続発生時期・贈与財産の金額及び実行年を可能な限り想定し、両制度のシミュレーションを行います。
また、オーナー属性(企業経営者、地主・不動産オーナー、金融資産家)ごとの傾向・対策まで考慮し、最適な判断をする必要があります。
相続対策として生前贈与をご検討されている方は、ぜひ経営相談室をご利用ください。
(回答日:2024年8月22日)