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各種の船積み書類が電子化される動きがあると聞きました。
貿易業務のDX化の動向について教えてください。
オールジャパンでデジタル化が進行中、国際運送費の自動見積りも拡大しています。
AI、IoT、ビックデータなどのデジタル技術を活用し、業務改善や新たなビジネスモデルを創出する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が急速に拡大していますが、貿易業務の世界も例外ではありません。長い間、貿易業務は「紙の貿易書類とその原本性」が基本となってきました。船荷証券(B/L)、信用状(L/C)、原産地証明書(C/O)などが一例です。
これら貿易書類は、輸出者や輸入者など貿易契約の当事者だけでなく、海貨業者、通関業者、船会社、運輸倉庫、保険会社、銀行など、貿易業務を担当する多くの関係者の間で「手渡しや郵送」による流通が中心となっています。又紙書類を保管する事務所や倉庫が必要になるなど、時間、場所、コスト、業務精度の観点で効率化を阻む大きな制約要因となっています。これらを解決すべく、貿易業務の完全電子化を図ろうとするプラットフォーム開発が各国で進んでいます。ブロックチェーン技術を使い、貿易書類を電子化し、取引履歴の管理やデータ改ざん/コピーの防止をしようとするもので、日本では「トレードワルツ」という税関も含めたオールジャパンの貿易デジタル化プラットフォームが進行中で、段階的に機能がリリースされています。貿易業務のDX化は日本だけで完結できるものではなく、海外の貿易関係者との協業やデータ互換性が必要であり、完全デジタル化にはまだ課題が残されていますが、国際貿易に係る「アナログな伝言ゲーム」から将来完全に解放されることが期待されています。
一方、これに先行する形で「デジタルフォワーディング」の開発も進んでいます。主に荷主とフォワーダー(海貨業者)間の業務を対象とするもので、国際運送費の見積り、
本船日程、船腹予約、船積みに関する進捗管理等をオンライン上で自動化しようとする
ものです。従来荷主とフォワーダー間ではこれら業務に関する電話、メール、ファックス等による膨大なやり取りが行われていますが、デジタルフォワーディングにより大きな省力化が可能となります。日本ではいくつかの主要フォワーダーやIT系スタートアップが企業向けにサービス提供を始めており、対象の業務範囲も順次拡大しています。主なサービスのURLを後掲しますが、アカウント取得には利用申請に対し物流会社等による所定の審査が必要になる場合があります。
参考情報(2023年7月時点)
・貿易デジタルプラットフォーム「トレードワルツ」
https://www.tradewaltz.com/
・デジタルフォワーディング 「日新 フォワードワン」
https://hp.forwardone.nissin-tw.com/
・デジタルフォワーディング 「郵船ロジスティクス バンテージフォーカス」
https://www.yusen-logistics.com/jp_ja/digital-solutions/yusen-vantage/yusen-vantage-focus