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IPOを目指しているスタートアップ企業です。人事労務分野においても多面的に上場審査されるようになってきていると聞いており、留意すべき視点をお聞きできませんでしょうか。
組織的な経営・人事労務運営の状況・労務コンプライアンスを意識しましょう。
人事労務分野で留意すべき主な視点は、以下の3点があります。
① 組織的な経営
株式上場においては、会社が持続的な成長を続けていくために、属人的な経営から組織的な経営に移行することが求められます。人事労務分野に関しても、組織運営も含めて社長がすべて意思決定するという状態ではなく、ある日社長が突然いなくなったとしても、経営に支障が生じないような「組織的な運営体制」が構築されているかという視点が重要になります。
具体的には、組織面では権限委譲・業務分掌の明確化等、人事労務面では従業員の就業制度、給与制度、評価制度の諸制度が整備、運用ルールとして規程化されているか、誤った運用にならないよう従業員教育が行われる体制になっているか審査されます。
② 人事労務運営の状況
「人」は会社経営を行う重要な経営資源であり、人事労務運営が適切になされているかという視点も審査の対象となります。
具体的には、採用基準、要員計画、昇進・昇格基準、従業員の離職率及び定着率、長期休職者、テレワーク制度の現状、福利厚生制度、教育研修制度等について、基本方針・運営状況が確認されます。中でも退職者が著しく多い会社は、安定的な会社運営に支障をきたすものとみられ、管理職・開発部門の研究員の退職は厳しくチェックされる傾向があります。
③ 労務コンプライアンス
コンプライアンスの徹底は、労務分野に限らず、上場会社として当然に要請されるものです。労務コンプライアンスの視点では、労働に関する裁判や問題などがニュースになり、目に触れる機会が増えていることから、労働法令を遵守しているか、これまで以上に細かく審査されるようになってきております。
具体的には、労働時間管理、管理監督者の定義、残業代等の未払賃金、時間外労働の上限規制、年次有給休暇等には十分留意しておく必要があります。また就業規則の作成・変更・届出義務、労使協定の作成・届出義務に対応する必要があります。