今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
詳細画面から専門家に、メール相談や直接会っての面談などを申し込むことができます。
弊社は、これまで国内で製造業を営んできましたが、アジアに工場を持つ海外の会社を買わないかという話が来ています。どのようなことに注意すればよいでしょうか。
制度・言語・文化の違いを踏まえ専門家と連携して進める必要があります。
海外M&Aは、貴社の市場拡大、事業規模の拡大、人材確保、特別な技術・情報・ノウハウなどの入手といったプラスの側面も多いです。
他方、日本国内の買収と比べて以下のように留意事項も多いですので、社内の入念な検討に加えて、海外M&Aに精通した国内外の専門家とも連携して進めることが重要です。
・ 外資規制:多くの国には外資規制がありますので、海外M&Aに際しては、事前にその国の
規制を確認する必要があります(将来の撤退時に必要な手続も確認しておきます)。また、
日本国内でもいわゆる外為法に基づく手続(事前届出や報告)の要否を確認する必要があり
ます。
・ 会社法:海外の会社法では、日本の会社分割や株式移転などの制度が存在しないことがある
ため、当該国で採りうるスキームを確認する必要があります。株式譲渡のスキームが採られ
るケースが多いですが、そのために必要となる手続も日本と異なるケースがあります。さら
に国によっては証券規制による一定の開示や届出等が必要になることがあります。さらに、
国内M&Aに比べてM&A契約書の条項も複雑かつ精緻になることが多いため、契約交渉に
も時間がかかります。
・ デューデリジェンス:国内M&A以上に対象会社の入念なデューデリジェンス(調査)を行
う必要があります。よく問題になる事項としては、例えば、多額の簿外負債、人事労務、税
務、事業に必要なライセンス、コンプライアンス、重要な取引契約、知的財産権等があり、
場合によってはM&Aを断念せざるを得ないこともあります。
・ 買収後の経営統合プロセス(PMI):買収後の経営統合プロセスについて、海外では言語・文
化・制度の違いから特に課題となることが多いです。いずれにせよ、完全に日本本社と完全
に同じような組織にすることは難しいでしょう。また、物理的な距離の遠さから現地の会社
をマネジメントすることも難しいことがあり、日本から経営人材を派遣することが多いで
す。