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先行技術調査でのヒット件数を適正数に抑える方法はありますか?

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  • 先行技術調査でのヒット件数を適正数に抑える方法はありますか?

    特許または実用新案の出願に先立って、特許庁のデータベースで先行技術調査を行うのですが、膨大な件数がヒットして対処に困ります。チェック可能な程度の適正数に絞り込むための方法を教えてください。

    キーワード検索と組み合わせてFIやFタームを利用すれば絞り込みが可能です。


    (1)FI、Fタームとは?
     FI(File Index)とは、日本が独自に定める特許文献の分類記号であり、全ての公報に付与されています。また、Fタームとは、「テーマコード」と呼ばれる記号と、「観点」と呼ばれる記号との組み合わせで表現されます。「テーマコード」とは、技術の範囲を表すものです。一方、「観点」とは発明の特徴となり得る要素であり、例えば、「目的」や「動作形態」や「動力源」や「制御」や「材料」などが挙げられます。
    (2)調査の具体例
     ここでは、「マスクの発明、特にゴム紐部分の構造を工夫したことにより、装着作業が簡略化されると共に顔面への密着度が増したマスクの発明」について、特許情報プラットフォーム(J-Plat Pat)を用いて調査することを想定します。
    (ステップ①)
     「特許・実用新案検索」において、検索項目を「全文」に、キーワードを「マスク」として検索します。ヒット件数は、881,394件です(2022年7月29日時点)。
    (ステップ②)
     上記①において、検索項目を「請求の範囲」に変更して検索します。ヒット件数は、187,881件です。
    (ステップ③)
     「特許・実用新案分類照会(PMGS)」における「キーワード検索(タブ)」において、「FI/ファセット単位」に設定した状態で、キーワードを「マスク」として検索します。ヒットした様々なFIを見渡し、本発明に最も近いと思われる「衛生マスク:A62B18/02@C」を記憶します。
    (ステップ④)
     上記②に加えて、検索項目を「FI」に、キーワードを「A62B18/02@C」として検索します。ヒット件数は、2,415件です。
    (ステップ⑤)
     上記③の検索結果画面において、「衛生マスク」に対してテーマコード「2E185」が付与されていることを記憶し、当該テーマコードのリンクをクリックします。
    (ステップ⑥)
     テーマコード「2E185」について、様々な「観点」が表示されます。そのうち、「観点AA00:呼吸装置又は防護具の取付部」を開きます(+マークをクリックします)。展開された様々な観点を見渡し、本発明に近いと思われる「観点AA07:口部、鼻部共(呼吸マスク、衛生マスク等)」を記憶します。
    (ステップ⑦)
     上記④に加えて、検索項目を「Fターム」に、キーワードを「2E185AA07(テーマコード+観点)」として検索します。ヒット件数は、2,261件です。
    (ステップ⑧)
     上記⑥において、今度は「観点BA00:目的、効果」を開きます。展開された様々な観点を見渡し、本発明に近いと思われる「観点BA04:気密保持又は顔面等との密着性の向上」と、「観点BA08:身体への取付け調節手段又は係止手段の改善」と、「観点BA12:取扱い、着脱容易(老人、子供も取扱える)」を記憶します。
    (ステップ⑨)
     上記⑦に加えて、検索項目を「Fターム」に、キーワードを「2E185BA04(テーマコード+観点)」として検索します。ヒット件数は、604件です。
    (ステップ⑩)
     上記⑨に加えて、検索項目を「Fターム」に、キーワードを「2E185BA08(テーマコード+観点)」として検索します。ヒット件数は、118件です。
    (ステップ⑪)
     上記⑩に加えて、検索項目を「Fターム」に、キーワードを「2E185BA12(テーマコード+観点)」として検索します。ヒット件数は、22件です。
    (ステップ⑫)
     上記⑪でヒットしたものを1件1件精査します。物足りなく感じたら、上記⑩へ戻るのも良いかもしれません。

回答した専門家
知的財産

岡本 直樹

知的財産を制する者はビジネスを制す。あなたの大切な事業を守るために必要な知財...

目先の利益に直結しない知的財産の取得は、単なるコストというイメージが強く、後回しにされがちです。しかし、長期的視点に立てば、事業の排他性を担保する知的財産権は勝ち残るために不可欠な投資です。特許庁からは、中小・スタートアップ企業をサポートするための施策が次々に打ち出されています。後手に回らず、知的財産からスタートすることをお勧めします。些細な疑問でも結構です、遠慮なくご相談ください。

ライセンス

弁理士
日本ディープラーニング協会ジェネラリスト

重点取扱分野

●各種相談(権利化可能性、権利侵害、ライセンス交渉等)

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