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特許、実用新案権、意匠権、商標権といった産業財産権に抵触するような商品を販売したら産業財産権の侵害になりますが、産業財産権がなければ他者の商品(「他者商品」と記載)の模倣品を販売しても問題はないのでしょうか?
産業財産権がなくても、他者商品の模倣品販売に問題が生じる場合があります。
不正競争防止法第2条第1項第3号には、「他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為」が不正競争行為であると定められています。従って、産業財産権がなくても、他者商品の模倣品の譲渡(販売)等を行うと、不正競争行為となってしまう場合があります。
「他人の商品の形態を模倣した商品」とは、デッドコピー品や実質的に同じと言えるほど近似する商品です。模倣されたものが該当しますので、独自に開発して偶々、同じような商品が出来てしまった場合には、この様な商品を販売等しても不正競争行為には当たりません。また、他人の商品の形態が、ありふれた形態であれば問題がありませんし、商品の機能を確保するために不可欠な形態であっても問題ありません(同法第2条第1項第3号)。
また上記行為が不正競争行為となるのは、日本国内において他者商品が最初に販売された日から3年を経過するまでの期間です(同法19条1項5号イ)。
もっとも、上記期間が過ぎても、他者商品の形態が、他者の業務に係るものとして需要者の間で周知である場合には、模倣品の販売に問題が生じる場合があるので、周知の他者商品の模倣品を販売するのは避けた方が賢明です。周知の他者商品の形態と同一・類似のものを使用したり、使用した商品を譲渡等して、需要者に対して他者の商品や営業であると混同させてしまうと、不正競争行為になります(同法第2条第1項第1号)。この周知は、全国的に周知でなくても一部地域で周知であってもかまいません。また、全国的に周知(著名)な他者商品の形態と同一・類似のものを使用したり、使用した商品を譲渡等する行為は、需要者の混同がなくても、不正競争行為になります(同法第2条第1項第2号)。
不正競争行為にあたる場合には、この行為の差止め請求や、この行為による損害賠償請求等がされる場合がありますのでご注意下さい(同法第3条、第4条)。