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社長が高齢となり、体調もよくなく、後継者もいない、赤字の会社です。
第三者への会社の譲渡はできるでしょうか。
資産の棚卸を行い、第三者に価値が伝わる案件概要書を作成しましょう。
赤字の会社に買い手がつくかどうか?というご相談ですね。赤字の会社だから、絶対に買い手を見つけられないわけではありません。赤字であっても買い手がつく場合についてご説明します。
1.資産がある場合
まず、会社の値段がどのように決まるかについてご説明します。これについては、実は絶対的な正解はありません。第三者間の取引では、通常、売り手は高く売りたいと考えます。買い手は安く買いたいと考えます。両者が納得できる価格が売買価格です。
絶対的な正解がないことを踏まえた上で、会社の値段の算定には、いくつかの方法があります。その一つが年倍法です。年倍法では、実態純資産に数年分の営業利益を足すことで、会社の値段を算定します。
実態純資産とは、貸借対照表上の純資産額を実態に合わせて、修正した価格です。
たとえば、売れないような不良在庫がある場合や、回収できないような不良債権がある場合は、その金額を純資産額から除きます。逆に、保有している土地に含み益がある場合などは、純資産額に含み益分をプラスします。
そして、数年分の営業利益とは、いわば、のれん代です。
会社の値段=実態純資産額+数年分の営業利益
上記をもとに考えると、赤字であっても、実態純資産額がプラスであって、買い手が買いたいと思えば、売却できることになります。
2.買い手が黒字化できると判断する場合
赤字であっても、買い手がつく2つ目のパターンは、買い手が事業を黒字化できると判断する場合です。
上記計算式から考えて、赤字の会社は、実態純資産額にプラスする営業利益がないことから、実態純資産額によっては、会社の値段は安くなります。
一方で、買い手から見ると、自社が買うことで、黒字化できると見込めるケースがあります。たとえば、一定の製品力や技術はあるけれど、営業力がない場合などです。
このようなケースにおいて、買い手の営業力によって、事業の黒字化が見込める場合、買い手からすると、収益事業を安く買えることから、買い手がつく場合があります。
3.売り手企業の資産の中に買い手がほしいものがある場合
赤字であっても、買い手がつくケースの3番目は、買い手がほしい資産を売り手企業が保有している場合です。具体的には、設備であったり、製品であったり、特許であったり、ブランドや知名度であったり、顧客リストや商流である場合もあります。
このような資産を買い手が買うことで、買い手の事業の発展が見込める場合、買い手が会社を買う動機になりえます。
以上、赤字であっても会社の譲渡ができる場合について、ご説明しました。上記から、赤字の企業が買い手を見つけるには、
・自社の資産などの棚卸を行い、しっかりと把握する。
・自社の資産などの価値が魅力的に伝わる資料を作成する。(案件概要書と言います)
上記2点が重要と言えるでしょう。