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能力不足の社員を解雇したら、「雇用契約書にも就業規則にも、『能力不足』を解雇の理由として定めが無いので、不当解雇である」と言われました。雇用契約書や就業規則に明記しないとできないことが他にもあるのでしょうか?
解雇、転勤、懲戒、残業、振替休日、休業手当、賃金控除等です。
解雇については、労働基準法で、解雇の事由については、雇用契約書や就業規則等への明示が義務付けられていますので、記載漏れや間違いは認められません。他にもあります。
1.人事異動ができない
長期雇用を前提とする正社員については、人事権について会社の裁量が広く認められていますが、就業規則や個別の雇用契約書に配転に関する記載が無い場合、その社員の同意が得られないと配転が難しくなります。
2.懲戒処分ができない
就業規則が無くても、雇用契約書に明記していれば、懲戒処分は可能ですが、一般的な雇用契約書のひな型で、懲戒の定めまで具体的に書いているものは少ないと思います。
3.残業や休日出勤をさせられない
法定労働時間を超える残業や法定休日の労働は、「36協定の締結」及び「割増賃金の支払い」で適法になりますが、業務命令としての根拠を明らかにするため、雇用契約書や就業規則に定めが必要になります。
4.1ヶ月単位の変形労働時間制が使えない
就業規則に定めることにより、1ヶ月以内の一定期間を平均し、週の労働時間が法定労働時間を超えない範囲で、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができます。
5.振替休日や代休を与えられない
業務の都合で休日に働かせることになった場合、通常は休日労働になり、休日割増賃金を支払うことになりますが、就業規則に定めれば、休日と労働日の事前の交換である「振替」や、事後の交換である「代休」ができます。
6.賃金から天引きができない
法令に定めのある税・社会保険料については、就業規則に定めが無くても天引きができます。しかし、社員旅行積立金等については、労使協定および就業規則(雇用契約書)に定めが無い限り、賃金から天引きできません。
7.休業手当を平均賃金の6割にできない
休業手当とは、会社の都合による休業の場合、労働者に支払う1日当たりの手当のことで、金額は平均賃金の6割以上です。就業規則(雇用契約書)で「休業手当は平均賃金の6割」と明記すれば、休業手当は平均賃金の6割になります。