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税理士さんに作成してもらった決算書を経営に有効活用できていないと感じています。決算書を経営に役立てるためにはどのような見方をすればいいですか?
経営上の意思決定、資金管理、財務基盤の向上に活用しましょう。
中小企業の決算書には、損益計算書と貸借対照表があります。決算書を経営に役立てるための見方について、3点お伝えします。
1.決算書の数字を経営上の意思決定に活用する
経営者が経営をする上で、多くの意思決定をされていることと思います。まずはその意思決定に経営数字を活用されてはいかがでしょうか。
経営上の意思決定とはたとえば、
・どの程度、値下げをしてもいいのか。
・社員を増やしたときにどの程度の売上増加が必要なのか。
・どの商品群の売上を増やすべきなのか。
などです。
ただし、決算書の形式そのままでは、経営上の意思決定には使いにくいです。事前準備として、損益計算書の数字を変動損益計算書に組み替える必要があります。
変動損益計算書では、費用を変動費と固定費に分けます。費用を変動費と固定費に分ける理由は、売上が変動したときの費用の変化を把握するためです。
変動費とは売上の増減に伴って、増減する費用です。固定費とは売上の増減の影響を受けない費用です。費用を変動費と固定費に分けることで、売上や費用を変化させたときの利益のシミュレーションがしやくなります。
また、商品群別に変動損益を見ることで、どの商品群の売上を増やすべきなのかなども判断できるようになります。
2.資金管理に活用する
経営数字の経営への活かし方の2点目は、資金管理への活用です。
月次損益計算書に運転資金増減(売上債権、棚卸資産、仕入債務増減)、設備投資、借入金増減などの項目を追加することで、資金の見通しの把握に活用することができます。
資金繰りの目的に特化して作成する、こうした資料のことを資金繰り表と言います。資金管理をすることによって、資金ショートを起こしそうなタイミングを早期に発見でき、対策立案できるようになる利点があります。
3.財務基盤の向上に活用する
決算書のうち貸借対照表は、自社の財務基盤を表す書類です。
貸借対照表を見ないままに経営を続けていると、過大な借入や過大な設備投資で苦しむことになったり、あるいは、過度な節税によって自己資本が過少となり、赤字の際に一気に債務超過に陥るケースも見られます。
長く事業を続けていると、事業環境が大きく変化することもあります。そのようなときに財務基盤が弱ければ、経営を続けていくことはできません。
そのためには貸借対照表の数字を確認して、自己資本比率の向上などの目標を定めて、経営を行うことが必要です。
貸借対照表の目標を立てることで、財務基盤の向上に活用することが決算書の経営への活かし方の3点目です。
以上、決算書を経営に役立てるための見方について、お伝えしました。自社にとって必要と感じることから取り組んでみてはいかがでしょうか。