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当社は特殊な技術をもった日本の製造業者です。この度、中国での販売ルートを拡大するため、中国企業と合弁会社を設立することになりました。中国で合弁会社を設立する際の流れと留意点を教えて下さい。
設立自体は容易になっていますが、合弁契約書の内容には注意が必要です。
1.合弁会社の設立手続
日本企業が中国で合弁会社を設立する場合、いわゆる外資三法の規制により、①商務部門への届出または許可と、②工商部門での登記が必要になります。
従前は、商務部門の許可を得た上で、工商部門の登記を行うという流れになっていましたが(許可主義)、2016年9月の法改正により、原則として届出制(ネガティブリストに該当する場合は許可制)に変更されました。また、ウェブサイトによる登記申請、2018年6月の法改正により、工商部門への登記申請と同時に、同じ窓口で商務部門への設立届出が可能になるなど、会社設立の手続はスピード化・簡素化されています。
更に、2019年3月15日に外商投資法が成立し、現在の規制根拠である外資三法は廃止されることになりました(2020年1月1日施行)。これにより、外資企業は中国国内企業と同様に取り扱われることが予定されています。
2.合弁契約締結時の注意点
出資比率、董事の人数配分・董事会決議事項及び総経理の選任、経営範囲、現物出資や利益配分に関する取り決め、デッドロック時の対応、増資・撤退・持分譲渡に関する合意等、多数の留意点があります。
例えば、撤退を検討する場合、中国では外資企業の破産は困難であり、解散清算にも相当の期間や費用を要する場合があります。そこで、持分譲渡を選択することが多いのですが、中国側から低価格での持分譲渡を求められるなどのトラブルが想定されます。
このようなリスクを避けるために、持分譲渡を求めることができる場合やその方法、持分譲渡代金の定め方についても、合弁契約書に記載しておくべきといえます。
3.外商投資法による影響
外商投資法施行(2020年1月1日以降)により、外資企業は中国国内企業と同様に扱われます。結果として、現在の合弁企業の取扱いも変更され(例えば、最高決定機関が董事会ではなく株主総会となります)、合弁契約書や定款を修正する必要が生じます(なお、この点については5年間の猶予期間が設けられています)。
そこで、2020年以降に合弁企業の設立を予定している場合はもちろん、既に合弁企業を設立されている場合にも、外商投資法施行による影響に注意する必要があります。