今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
詳細画面から専門家に、メール相談や直接会っての面談などを申し込むことができます。
会社を経営していますが、会社には種類株式というものが発行可能であり、様々な場面で活用できると聞いたのですが、実際にはどのような場面で活用できるのでしょうか?
事業承継や相続対策、資金調達等で活用の期待がもたれます。
まず、会社の主な株式の権利内容としましては、
①剰余金や残余財産の配当を受ける権利
②株主総会において議決権を行使する権利
があります。この①②の双方を有するものがいわゆる、一般的に普通株式と呼ばれているものですが、上記①②の権利関係につき内容が異なるものを発行することも可能であり、例えばA種類株式、B種類株式といったような種類株式を発行することができます。
現行法上の種類株式は、実に9種類もの株式が法定されており、さらにこれらの内容を組み合わせることで多様な種類の株式の発行を可能とし、事業承継や事業再生等において活用されることが期待できます。
例えば事業承継の場面では、「議決権制限株式」や「拒否権付株式」を発行することで、相続人間の遺留分等に配慮しながら後継者に引き継がせることを実現する方法の一つとして活用できます。
また、「無議決権株式」と「配当優先株式」を組み合わせた種類株式を発行することで、多額の資金調達が必要な場合の手段としても考えられますが、出資者側は出資をしていながら会社経営権をもたないことになりますので、そのバランスに配慮しなければなりません。そのため、いわゆる非公開会社に限定されますが、「取締役等選任権付株式」を活用することで、出資者に一定数の役員を選任できる権利を保有させることでそのバランスを調整することも考えられます。
以上のとおり会社の規模や具体的事情に応じて種類株式の組み合わせやその発行数については会社や関係者を交えて詳細に検討しなければなりませんが、他の制度等と併用することで問題解決の一方法として期待できます。