今までいただいたご質問の中で多かった質問とその回答例です。
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市場がシュリンクし、今の事業領域での業績改善が難しい状況です。売上向上に向けて、新商品開発にトライしたいと考えていますが、やり方がよくわかりません。どのように取り組めばいいでしょうか。
すぐできる改良と、長期的視野に立った開発に分けて取り組みましょう。
新商品の開発アプローチについては2種類の方法があります。
一つ目は既存品の改良パターンです。既存品について何かを見直すことで、もっと売れる商品にできる場合があります。たとえば
・ネーミングやキャッチコピーの変更
・パッケージやサイズの変更
・素材・機能の変更
・対象とするお客様・利用場面の変更
などです。
世の中のヒット商品の中には、ネーミングの変更やサイズの変更など少しの工夫で売れるようになった例が数多く存在しています。この手法の利点は、開発期間が短く、すぐ取り組めること、商品開発コストが相対的に少なく済むことです。
まずは、すぐできる取り組みとして、既存品の改良にトライし、小ヒットを狙ってみてください。
もう一つのアプローチは、まったく新しい価値を持つ新商品の開発です。これについては、ベースとなる既存品がありませんので、失敗する可能性も高いです。そこで、この場合は、「失敗することを当たり前のこととして、失敗を織り込んだ開発プロセス」が必要になります。
具体的には、
1. 「お客様にとって価値ある商品・サービス」のコンセプトをお客様の使用行動や意見から見つける。(着眼する)
2. コンセプトの評価と検証を素早く行う。
ことの2点が必要になります。
具体的な進め方としては
① 情報収集:お客様にヒアリングして、以下などについて尋ね、お客様のニーズや気持ちへの理解を深める。
・商品・サービスをどのように利用しているか。(利用場面・利用行動)
・商品・サービスの使用における不満・不便・不快・不安
・商品・サービスの使用についての意見・期待
② 着眼:聞いたお話の中から、いくつかのテーマを選び、新しい商品コンセプトを考える。
③ 試作:商品コンセプトで提案する新しい価値を体感できる試作品を作る。
④ 評価:試作品への意見をお客様に聞いて改善する。
をくり返すことで、「お客様にとって価値ある商品・サービス」の具現化を行います。
ポイントとしては、
(1) 着眼した商品コンセプトについては、社内で評価せず、試作品をお客様に体感していただいて、評価を得る。
(2) 試作品の製作には時間やお金をかけない。
の2点があげられます。
商品コンセプトの評価を社内で行わないことの理由は、「お客様にとって価値ある新しいコンセプト」の具現化においては、過去の成功体験にもとづくノウハウが役に立たないことが多いためです。
試作品の製作に時間やお金をかけないことの理由は、新しいコンセプトでの開発においては、失敗の発生が不可避ですので、一つ一つの失敗にかける時間やコストを最小化するためです。
新しいコンセプトの評価については、言葉だけでなく、お客様が体感できる試作品が必要ですが、作り込んで完成度を上げた試作品でなくとも、触ったり、試したりできるモノであれば、使用感などについての評価を行うことは可能です。
なお、新商品開発については、チーム開発で取り組まれることをお勧めします。チーム開発によって組織が活性化し、新しいことにチャレンジする組織風土が生まれることが大きな成果につながります。