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法人になった場合、税務調査が個人に比べ実施されやすくなると聞いたのですが、どれくらいの頻度で実施されるのでしょうか?
実施頻度についての目安はとくにありませんが、調査の意味においては、個人より法人のほうが調査実施の頻度は高いと考えられています。
■税務調査とは
税務調査とは、「申告内容が正しいかどうかを帳簿などで確認し、申告内容に誤りが認められた場合や、申告する義務がありながら申告していなかったことが判明した場合には是正を求めるものです」(国税局「税務手続きについて」平成24年9月より)。
■申告納付と税務調査の必要性
そもそも、我が国の税務申告は個人・法人を問わず、原則として「申告納付」という形を採っています。申告納付とは、自分の納付すべき税額を自ら計算し、申告し、その申告額に従って納付するというものです。
仮に、この申告納付を、正確かどうか確認せず、完全に納税者任せたとしたらどうなるでしょう。たとえば、全く同じ業績の会社2社が算出した納税額が、故意か、故意でないかは問わないとしても、全く違ったものになる可能性が出てきます。それでは、法における「税の公平性」が守られないことになってしまいます。
■税務調査権
税の公平性を担保するため、所轄の税務署は、会社に対し、「税務調査権」を有しています。税務調査では、帳簿などの資料を調査し、その申告額が法人税法に則って、適正に計算されたものであるか否かを確認します。結果によっては、会社は申告額の是正を求められます。
■個人より法人に税務調査が多い理由
これまで説明してきた原則は、法人も個人も、何ら変わるものではありません。従って、いずれも調査が実施される可能性はあります。
しかし、法人税の申告は、個人に比べ帳簿の種類が多く、申告書の形式も、個人の確定申告に比べ複雑であることが一般的です。つまり、法人は、比較的「税の公平性」を保ちにくいと言えます。また、法人は、組織の規模や社会的影響力も大きいことから、どうしても個人よりも税務調査の対象となる頻度が多くなってしまうと言えるでしょう。
■税務調査が入るタイミング
なお、法人設立数年後は、申告の是正というよりも、どちらかというと確認や指導といった意味合いで、第1回目の調査が入る可能性が比較的高いと言われています。その後の調査の頻度については、一概に言うことはできませんが、従前の調査の結果次第で多くなる場合もあれば、少なくなる場合もあると考えられます。