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事業承継対策をしなかった場合のトラブル事例

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  • 事業承継対策をしなかった場合のトラブル事例

    私が大株主でかつ代表取締役を務めている当社の経営を今後,取締役である長男に譲りたいと思っていますが,現在,特に何も対策を講じていません。今後私が死亡し,長男が事業を承継して経営していくにあたって,何か問題が生じるでしょうか。

    法的に後継者が経営権(株式)や事業用財産を承継できない事態が生じる可能性があります。


     現社長から後継者に事業を承継させるためには,単に経営ノウハウ等を承継させるだけでは足りず,法的にみて経営権がしっかりと承継される必要があります。そのような法的対策を講じなければ様々な問題が生じてしまいます。
     例えば,次のような会社を念頭において,そのトラブル例を紹介します。
    ・現社長の相続人は,妻,長男(後継者)及び次男の3人。
    ・会社の株式1000株は,全て現社長が所有。
    ・会社本社のある土地建物が現社長の所有名義のものであり,それを現社長から会社に月100万円で貸している状態(ただし,実際上は賃料を回収していない)。

    1 自社株式について
     現社長の所有していた株式は,現社長が死亡した後,遺産分割が行われるまでの間,相続人3人の(準)共有となります。この共有株は,多数決で行使されます。したがって,例えば,妻と次男が協力して,2人にとって都合の良い人間を取締役に選任したり,後継者である長男を取締役から解任させることも可能となります。また遺産分割においても,基本的には,妻に500株,長男に250株,次男に250株が相続されます。そのため,やはり,妻と次男が協力すれば,長男を取締役から解任させることが可能となります。

    2 会社本社の土地建物について
     現社長の会社に対する100万円の賃料請求権は,妻,長男及び次男に相続され,妻が50万円,次男が25万円を会社に請求できます。仮に会社がこの請求に応じず支払わなければ,会社は本社土地建物を明け渡さなければならなくなり,事業が停止してしまうことになりかねません。

    3 小括
     以上の通り,事業承継対策を講じなければ様々なトラブルが発生してしまいます。現社長が生存中は,このようなトラブルは生じないと思っていても,現社長が死亡し,いざ相続が開始すると突如発生することもあります。そのような事態にならないよう,現社長が生存中に,法的に経営権が後継者に承継されるよう対策を講じておく必要があります

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