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融資が受けやすい決算書はありますか?

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  • 融資が受けやすい決算書はありますか?

    決算書の内容によって融資の受けやすさが変わると思いますが、金融機関はどのような視点で決算書を確認していますか?その他注意点などがあれば教えてください。

    「収益性」「安全性」「資金繰り力」の視点が重要です。



     金融機関から融資を受ける際、最も重視される資料が決算書です。決算書は企業の健康診断書のようなものであり、その内容次第で評価が大きく変わります。融資が受けやすい決算書を3つの視点で説明します。
     1つ目が「収益性」です。売上や利益が安定しているか、本業でしっかり稼げているかを確認します。とくに営業利益が黒字であることが重要です。赤字が続いていれば返済原資がないと評価されます。過度な節税で利益を抑えすぎたりすると、実際よりも返済能力が低く見えてしまう点にも注意が必要です。
     2つ目が「安全性」です。自己資本が厚いかどうか、債務償還年数(借入金÷キャッシュフロー)が10年以内か確認します。借入金が過度に多いと「これ以上貸せない」と判断されます。流動資産と流動負債のバランス、すなわち流動比率が100%を超えているかどうかなどもチェックされます。
     3つ目が「資金繰り力」、すなわちキャッシュフローです。利益が出ていても、売掛金や在庫が膨らんで現金が不足していれば返済はできません。損益計算書だけでなく、貸借対照表や資金繰り表を整え、資金の流れが健全であることを示すと、金融機関は安心します。
     これらに加え、金融機関は決算書に表れない「説明力」も見ています。たとえば業績の増減理由や、今後の返済計画を事業計画書や資金繰り表で示すことができれば、金融機関の安心感は格段に高まります。
     注意点として、中小企業の場合、決算書は税理士が作成することがほとんどですが、税理士が企業の事業内容や取引内容を理解せずに作成した決算書は、勘定科目が正しくないことや、決算書の表示場所が適切でないことがあります。そして、正しくない数字に基づいた事業計画書や資金繰り表は、根拠や説得力がうすいものとなってしまいます。そのため、融資の受けやすさは、決算書を作成する税理士の能力にも大きく影響されることにご注意ください。

    (回答日:2025年9月30日)

回答した専門家
税務、会計

石井 秀治

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税理士により、会計処理や税務の判断が変わります。つまり、誰が作るかで決算書や申告書の内容が変わり、税務調査の確率や結果も変わります。中小企業診断士の視点を活かした財務面のアドバイスのほか、元国税調査官の経歴を活かした税務面の対応やアドバイスも行っています。税務会計だけでなく経営の悩みごとなど、些細なことでも遠慮なくご相談・ご質問ください!

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1 税務会計
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