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多品種小ロットの生産のため、段取り替えに時間が取られ、多くのロスを生んでいます。段取り替えの改善はどのように進めたら良いか教えて下さい。
段取り替え作業を内段取りと外段取りに分け、内段取りの外段取り化を進めてください。
「段取り替え時間」は、現在の加工が終わった時から、次の加工の最初の良品が出るまでの時間を指し、「内段取り時間」と「外段取り時間」の2つからなります。
「内段取り」とは機械を止めて行う段取りで、「外段取り」とは機械を停止せず予め機械の外で行う段取りのことです。
段取り替え改善は、以下のステップに基づいて進めます。
ステップ1:現状調査
まず、段取り時間の現状を把握することが重要です。就業時間内に占める段取り替え時間と作業内容を記録し、工程や機械別の問題点を把握します。複雑な作業や人と機械の連合作業などにはビデオ撮影による分析が効率的です。
ステップ2:内段取りと外段取りの切り分け
ステップ1で調査した段取り作業の内容を「内段取り」と「外段取り」に切り分けます。
ステップ3:内段取りの外段取り化
内段取り作業の中で、加工材料の運搬や金型の準備等の事前に準備できる作業を洗い出し、外段取り化します。
ステップ4:内段取り時間の短縮
作業のムダの排除、治工具の取付・取外し作業の簡素化、調整作業の排除、金型・刃物固定のネジの廃止(カムの利用など他の固定法への変更)、カセット方式の採用、並行作業の実施などにより内段取りの時間を短縮します。
ステップ5:外段取り時間の短縮
5Sの徹底、作業のマニュアル化、作業訓練の徹底、治工具の改造などで、外段取り時間を短縮します。
ステップ6:効果の評価と他工程への展開
ステップ1〜5の改善結果を定量的に測定し、効果を評価するとともに、他工程へ横展開し、工場全体の流れ化を促進します。
トヨタでは段取り替え改善を追求し、10分以内で段取り替えを行うシングル段取りや、スペアカセットや回転式の治具交換補助具などによるワンタッチ段取りなどの取り組みを進めていますが、これらの改善には、投資も必要となりますので、経済的効果を見ながら進めることが大切です。
段取り替え改善に取り組むことで、工場の流れがスムースになり、仕掛り在庫の削減にも繋がります。それぞれのステップでは、まずお金をかけずに出来る部分から取り組むことが重要です。
効果は確実に現れますので、ぜひ取り組んでみてください。