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これまで販売店として商品を仕入れていた商品(販売価格の規定有り)を、当社の商品として製作を依頼し、独自のブランドで販売することになりました。発注側として、OEM契約書を作成する際の注意点を教えてください。
製造条件だけでなく、販売によって生じる影響まで意識することが大事です。
OEM取引を開始するにあたっては、製造条件だけでなく、完成品を自社ブランド商品として販売することによって生じる影響を十分に意識した契約内容とすることが重要です。OEMで製造された商品であっても、市場では発注者の商品として認識されるため、品質不良や表示の問題、クレームや事故が発生した場合には、発注者の信用が直接影響を受けることになります。そのため、契約書では製造の段階にとどまらず、販売後や契約終了後までを見据えた対応を定めておく必要があります。
まず、商品本体や包装、広告、ウェブサイトなどに表示される商標・商号・ロゴといったブランド表示については、使用できる範囲や方法を明確にし、今回の契約に基づく製造・販売の目的に限って使用できることを定めておくことが大切です。あわせて、契約終了後は発注者のブランドを一切使用しないことを明記しておくことで、意図しないブランド使用や混同を防ぐことができます。
次に、本件のように製品が発注者独自の仕様や設計に基づくものではない場合、金型や製造設備の返還を求めることは一般に難しいと考えられます。そのため、金型の所有や返還にこだわるのではなく、発注者ブランドを付した商品の製造は今回の契約に基づく場合に限ることや、発注者ブランドと誤認されるおそれのある態様での製造や販売を行わないことなど、金型や設備の使用方法を制限する規定を設けることが大切です。重要なのは、契約終了後も含めて、発注者のブランドを付した商品が無断で製造・流通しないようにすることです。
また、同一仕様の商品が他社にも供給される場合であっても、発注者専用の箱やラベル、発注者が作成した商品説明文や販促資料を他社向けに使用しないことを定めておくことで、市場における混同を防ぎ、自社商品のイメージを守ることができます。特に、インターネット販売では、商品画像や説明文の流用が問題となりやすいため、こうした点についても契約書で触れておくことが望ましいと考えます。
さらに、自社ブランドで販売する以上、販売価格や販売方法は発注者が主体的に決定できることが前提となります。製造業者が再販売価格を指定したり、販売条件に不当に関与したりすることは、独占禁止法上問題となるおそれがあります。そのため、従前の取引で価格の指定があった場合には、今回のOEM取引においては、転売価格は発注者が自由に設定でき、製造業者はこれを制限しない旨を契約書で明確にしておくことが重要です。
品質不良や事故が発生した場合の対応についても、あらかじめ整理しておく必要があります。消費者からの問い合わせはまず発注者に寄せられるため、品質基準や検査方法、不良品が発生した場合の対応、製造上の問題に起因するトラブルについては製造業者が第一次対応を行うことなどを契約書で定めておくことで、発注者の負担やリスクを軽減することができます。ただし、製造業者に一方的に過度な責任を負わせる内容は、取引の公正さの観点から問題となる可能性があるため、取引の実態に応じた合理的な責任分担を意識することが大切です。
また、OEM契約の内容によっては、独占禁止法や中小受託取引適正化法(取適法)といった取引適正化に関する法令が関係する場合があります。例えば、類似商品の製造や販売を広く禁止する条項や、契約終了後も長期間にわたって取引先や事業活動を制限するような条項は、競争を不当に制限するものとして問題となるおそれがあります。制限を設ける場合には、ブランド混同防止など、必要性と合理性のある範囲にとどめることが重要です。さらに、発注者と製造業者の資本金規模や取引内容によっては取適法が適用されることがあり、その場合には、発注内容や代金、支払期日を明確にした書面を交付することや、不当な減額や返品を行わないことなど、法令で定められたルールを守る必要があります。
最後に、契約終了後の取扱いについても忘れずに定めておくことが重要です。契約が終了した後に、発注者ブランドの商品が作り続けられたり、ブランド表示済みの在庫や資材が流通したりすることを防ぐため、契約終了後の製造中止や在庫・資材の処理方法について、あらかじめ契約書で整理しておくと安心です。
このように、OEM取引であっても独自ブランドで販売する場合には、ブランドの管理、販売の自由、トラブル時の責任分担、そして法令面への配慮を含めたバランスの取れた契約内容とすることが、発注者にとって重要なポイントとなります。
(回答日:2026年2月27日)