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賃金のベースアップの手順について知りたい

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    世間では賃金のベースアップをする企業が多く、わが社も経営は厳しい状態ですが、頑張ってくれている従業員に少しでも報いるため、賃金改定をしたいと思います。どのような手順で行っていけばよいのでしょうか。

    総額人件費と適正な労働分配率を考えながらの実施が必要です。



     賃金改定にあたってまず考慮しなければならないのは、総額人件費管理です。基本給を上げると、それに付随して法定福利費などの費用が増加し、約1.6〜1.7倍くらいの費用がかかります。付加価値を考え、人件費を適正に配分していく必要があります。
     企業が稼いだ利益など付加価値に占める人件費の割合を労働分配率といいます。付加価値の計算方法はいろいろな方式がありますが、ざっくりと考えるとすると粗利を基本にするのがよいでしょう。過去の自社の労働分配率を出し、今後の業績予想からどのくらいの労働分配率を目指していくのかを考え、総額人件費の枠を決めます。
     先行きが不透明な場合は、賞与での配分をまず考えることになります。賞与は基本給をベースにしている会社が多いと思いますが、業績連動型賞与を採用し、業績を配分しやすい形にするのがよいでしょう。
     賞与での配分を3年程度続け、会社の体力があると判断されれば、いよいよ基本給の改定に取りかかります。厚生労働省や日本経団連などが公表しているデータから、世間の賃金改定動向や地域・同業他社などの賃金水準を参考にして、自社で決めた総額人件費の枠の範囲で賃上げ額を決定します。賃上げは、全体に平均的に行うという方法もありますが、事前に自社の賃金制度の分析を行い(分析の方法は、よくある経営・法律相談の「自社の賃金水準が世間水準と比べて適正なのかを知りたい」を参照)、問題点があるならその箇所を重点的に改善するという方法(たとえば、子育て世代の賃金水準を改善するために、家族手当の金額を見直すなど)もあります。
     いずれにしろ、貴重な経営資源を使い、賃金改定を行うことになりますので、会社の将来の見通しと従業員の生活の安定を考え、会社・従業員双方が満足できる賃金改定になるようにする必要があります。

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