専門家派遣　コンサル出前一丁　利用者インタビュー

利用前の課題

かつて印章は、印鑑登録、銀行口座の開設、重要な契約締結など様々な手続で使われ、日本で生活するための必需品といえました。それゆえ印章店は「待ちの商売」であり、事業について自ら発信を行う、という土壌はありませんでした。
創業以来、事業は順調でしたが、印章店や印章職人が減少し続ける業界の状況に危機感を抱いていたところ、コロナ禍をきっかけ「脱ハンコ」の流れが急速に押し寄せました。印章に新たな価値を持たせなければ、印章製造の技術が失われてしまう。このピンチを乗り越えるためには、「印章の価値」そのものを変え自ら情報を発信して世に訴えることが必要だと考え、「印章文字のデザインを販売する」という新規事業に取り組むことにしました。

アドバイスを受けた内容

新事業を進めるうえでハードルとなったのが、情報発信のノウハウがないことでした。手段として動画を活用することまでは考えついたのですが、どのように制作するのかが全くわかりません。そこで、大阪産業創造館のコンサル出前一丁を申し込みました。
担当の専門家から、動画制作で肝心なのは事前準備であるということを教えていただき、「動画を何に使うのか、何を伝えたいのか、いつまでに完成させなければならないのか」、といった点を細かく確認しました。そのうえで、動画の構成やナレーション原稿の作り方、制作会社の選び方、編集のポイントなどをアドバイスいただきました。自ら出演し、語り掛ける方が見る人の心に残る動画になるのではないか、というアドバイスもあり、当初は想定していなかった動画出演にもチャレンジすることになりました。

成果

綿密な事前準備の甲斐もあり、制作会社との打ち合わせは非常にスムーズに進み、「印章に対する想い」、「印章文字デザインの魅力」、「印章の今後」の3つの動画を、想定していた期間・費用で制作することができました。動画は、自社のHPやクラウドファンディングのプロジェクトページ、プレスリリースなどに掲載し、活用しています。いわゆる「バズらせる」動画として制作したものではないので、目に見えて効果があるというわけではありませんが、新規事業である「印章ブランド『HANKO KIAN』」の認知度向上・ブランドイメージ確立にこの先貢献してくれることを期待しています。
また、動画制作の流れやポイントを修得することができたので、今後動画を制作する際は、ある程度自力で取り組めるという自信も得られました。

感想

情報発信のために自分の事業を振り返り、想いを表現する機会を得たことで、自分自身が進むべき道が見えてきたように思います。印章デザインの魅力発信を通じて、印章製造技術の本質が見えてきた今、印章デザイン・製造の種火を残すことが、印章職人である自分の使命であると感じています。
初めての動画作成は、「チャレンジして、動いてみることで、得られるものがある」ということにも気づくきっかけになりました。これまで、アイデアはあっても進め方がわからず諦めた企画がいくつもありましたが、コンサル出前一丁のように、伴走してもらい、道筋を示してくれるサービスを活用すれば、自らの力で実行できると感じました。やりたいことがある事業者には、ぜひおすすめしたいサービスです。

（公開日：2025/5）