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他人の登録商標と類似する商標でも登録できる場合があるって本当?

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  • 他人の登録商標と類似する商標でも登録できる場合があるって本当?

    これまで、他人の登録商標と類似する後願商標は登録を受けることができませんでしたが、改正により、例外的に登録が認められるようになると聞きました。具体的にどういう要件を満たす必要があるのでしょうか?

    先行商標権者の同意があり出所混同の恐れがなければ登録が可能です。


     商標法第4条第1項第11号は、先願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものは、商標登録を受けることができないと規定します。
     そして、審査において同号に基づく拒絶理由が通知されると、現行法上、①抵触する指定商品・役務の削除、②非類似である旨の主張、③譲渡・放棄交渉、④アサインバック(一時的に出願人の名義を引用商標権者の名義へと変更し、登録後に元の出願人の名義へ戻す手法)、⑤不使用取消審判、のいずれかの対応により抵触関係を解消できなければ、権利化は断念せざるを得ません。

     一方、米国、欧州、台湾、シンガポール、オーストラリア等の諸外国では「コンセント(併存同意)制度」が法律や運用として導入され、先行商標権者の同意を条件に後願の商標登録を認めることとしています。日本でも、より簡便・低廉な選択肢として平成18年頃よりコンセント制度の導入は議論されてきましたが、当事者間の合意だけでは出所混同の恐れを排除できず、現行制度下でもアサインバックは行なわれている等の実情を理由に法改正に至りませんでした。

     しかし、国境を超えたビジネスにおいて日本ではコンセント契約を結ぶことができず、海外ユーザーに対する参入障壁であると問題視されるなど国際的な制度調和の要請を背景にユーザーニーズの一層の高まりも受け、今般日本でもコンセント制度(新設商標法第4条第4項)の導入が決定しました。但し、先行商標権者の同意を得ても出所混同の恐れが拭えない場合には登録しないとする留保型コンセント制度を採用し、登録後は混同防止表示請求や不正使用取消審判請求を可能とするなど需要者の利益保護を担保することとしています。

     尚、上記改正についての施行期日は、令和6年4月1日と公表されています。
    https://www.meti.go.jp/press/2023/11/20231124001/20231124001.html

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