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2019年10月からの消費税増税により、8%の税率が10%になった場合、資金繰りにどのような影響が出るのか、また、どのような対策があるのか教えてください。
納税額の増加だけでなく、支払い額の増加やキャッシュレス決済の増加の影響を考慮する必要があります。
消費税の増税によって、資金繰りに与える影響は少なくありません。
1)8%から10%になることにより、支払金額そのものが増える
2)8%から10%になることにより、消費税の納税額が約1.25倍に増える
3)キャッシュレス決済ポイント還元事業の影響により入金が後になる金額が増える
このような影響が考えられます。もう少し具体的に見ていきましょう。
1)8%から10%になることにより、支払金額そのものが増える
消費税率が一部の軽減税率適用のもの(食料品や新聞など)を除き、8%から10%に増えることになります。1,000万円の仕入や経費にかかる消費税は、80万円から100万円に、20万円増えることになります。ほとんどの事業者であれば、消費税の納税の際に精算されますが、消費税の納税義務がない、あるいは医療や介護福祉の事業を中心に非課税売上が大半を占める事業者にとっては、消費税の増税は、負担が増えることに他なりません。
2)8%から10%になることにより、消費税の納税額が約1.25倍に増える
これまで売上が1,000万円、消費税がかかる経費500万円の事業者では、1,000万円×8%-500万円×8%の40万円が消費税の納税額でした。しかし、10%になると、1,000万円×10%-500万円×10%となり、納税額は50万円となります。消費税の納税のために準備する資金が、1.25倍になります。
3)キャッシュレス決済ポイント還元事業の影響により入金が後になる金額が増える
2019年10月から2020年7月末まで、中小企業が運営するBtoC店舗などで、クレジットカードなどでキャッシュレス決済を行うと、5%のポイント還元が受けられるという施策が準備されています。この期間は、クレジットカードなどのキャッシュレス決済の割合が高くなることが予想されます。売上が現金化されるタイミングが半月〜1か月ほど遅くなります。
以上の影響が考えられ、今からできる対策は、次のようなことです。
・医療や介護福祉など消費税がかからない売上が多い事業者は、負担が増えることになるため、無駄な支出がないか今一度の見直しと、売上自体を増やすことができないかを検討しましょう。
・消費税の納税額が増えるため、消費税納税用の口座を準備し、納税用資金を毎月プールしておきましょう。金額については税理士に相談頂くと教えてもらえると思います。
・資金繰りの影響を確認するために、資金繰り表の作成をおすすめします。資金の動きを知るには試算表では不十分。月次の資金繰り表を作成し、少なくとも半年先までの資金のシミュレーションをしましょう。
・増税により多くの企業で運転資金が増えると予想されます。金融機関にも相談し、必要な運転資金の融資を受けましょう。