新規開業・新規設立をした場合の消費税の届出についての注意点。の相談詳細(回答) « よくある経営・法律相談 « 経営に役立つ情報 « サンソウカン経営相談室

大阪の中小企業支援機関。 大阪産業創造館(サンソウカン)

新規開業・新規設立をした場合の消費税の届出についての注意点。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 新規開業・新規設立をした場合の消費税の届出についての注意点。

    個人で独立開業したときや、会社を新規設立した場合には、消費税がかからない期間があると聞きました。ある届出を出せば、店舗の内装設備などにかかった消費税の還付を受けられるとも聞いています。どのようなことに注意すればよいでしょうか?

    内装などのまとまった設備投資をするなら課税事業者を選択して消費税の還付を受けられますが、注意点があります


     消費税の納税義務の有無は、次のように決まります。
    <個人事業者の場合>
     2年前の課税売上高が1,000万円以下である場合は、原則として免税事業者となりますが、前年の前半6ヶ月での課税売上高か支払うべき給与の額が1,000万円を超えるならば、課税事業者となります。
    <法人の場合>(資本金1,000万円以上だと自動的に課税事業者となります)
     2期前(事業年度の月数により、年換算するなどの計算を経ます)の課税売上高が1,000万円以下である場合は、原則として免税事業者となりますが、前期の最初6ヶ月(前期が8ヶ月未満である場合は、この要件はなし)の課税売上高か支払うべき給与の額が1,000万円を超えるならば、課税事業者となります。

     新規開業や新規設立をした場合、消費税に関して何も届出を出さなければ、上記の通り、1年目は免税事業者となりますし、状況によっては、2年目についても免税事業者となり得ます。

     納付すべき消費税は、顧客から預かった消費税から、仕入や経費とともに支払った消費税を差引いて計算します。免税事業者になるということは、顧客から預かった消費税から支払った消費税を差引いた分を納めなくて済むということです。預かった消費税>支払った消費税の場合は、その差額分、トクをした(益税と言います)ことになります。

     一方で、例えば店舗を借りて飲食業や美容業を始める場合など、最初に多額の設備投資がある場合には、預かった消費税<支払った消費税となることが多いようです。課税事業者であれば、支払った消費税から預かった消費税を差し引いた金額の還付を受けられることになりますが、免税事業者の場合は、還付を受けることができません。

     しかし、「あえて課税事業者を選択する」届出である課税事業者選択届出書を提出すれば、課税事業者となり、還付を受けることが可能です。提出期限は、1年目であればその年や事業年度(課税期間)中、2年目以降であれば、2年目の初日の前日です。

     この場合、注意すべきことは2点あります。
     1つは、課税事業者選択届出書を提出してから2年間は、原則として、免税事業者に戻ることはできませんし、簡易課税制度(支払った消費税を売上から簡便的に計算する方法)を選択することができないことです。
     もう1つは、課税事業者を選択した期間の設備投資が一取引単位1,000万円以上のものであるなど一定の場合は、3年間は免税事業者に戻ることや、簡易課税制度を選択することはできません。
     よって、1年目で還付を受けると、2年目、場合によっては3年目も消費税の納税義務があることになります。課税事業者選択届出書を提出して還付を受けるかどうかは、3年間くらいの数値計画を作成して、消費税の額を試算し、検討することをお勧めします。

回答した専門家
税務、会計

神佐 真由美

夢や目標、ありたい姿を語って下さい。実現のために一緒に「何をどうするか」を考...

事業を継続するだけで大変な時代だと言われます。だからこそ、「自分の商品で世の中をよくしたい」「働きがいのある会社を作り、輝く人を増やしたい」・・・と事業をされている方、承継される方、起業を志される方の挑戦を応援したいです。経営は常に挑戦だと言われます。一番身近なパートナーとして、ビジネスドクターとして、皆さんが経営=挑戦に専念できる環境づくりを支援したいです。一緒に未来を描きましょう。

ライセンス

税理士
認定経営革新等支援機関

重点取扱分野

1)絵に描いた餅にならない魂の入った経営計画の策定(資金...

カテゴリーで相談を探す

ページトップへ戻る