2009年8月10日
今年度2回目の大阪府・大阪市経済動向報告会(7/23)にて配布した資料:「混沌とした経済情勢の捉え方」の中から、今回はその第7ページに着目する。
この図は昨年の4-6月期以降、今期までの5期について定期的な主要調査項目のDI(注)の推移を示した図であり、参考として、それまでの景気の最高期と最低期のDI水準をも示している。
この図には10の調査項目を示すが、私は大別して業況判断や出荷・売上高などのフロー的指標(各期の状況がそれまでの期とは基本的には独立して変動する要素が支配的なもの。損益計算書に関わるものが多い。)と、資金繰りのようなストック的指標(各期の状況は前期末の状況に影響される度合いが強いもの。)に分けられると考えている。営業利益に関しては両者の中間的な性格を帯びているが、企業の持続的な経営努力が反映される要因と考えて、ここではストック的指標に分類する。
まず、フロー的指標に関する共通的な特徴は、20年4-6月期以降21年1-3月期まで下落傾向にあったが、ようやくこの4-6月期で反転もしくは横這いになっている。よって、このことから“景気が持ち直している”と言う見方も十分に成立する。一方、ストック的指標に関してはマチマチであるが、今期においても下落し続けている指標が2つもある。1つは営業利益判断(黒字企業割合-赤字企業割合)であり、赤字企業が増えつつあることを示している。業況判断も改善し、単価も上向いているのに利益ベースでは採算がとれていないことの裏返しであり、まだまだ需要量が採算ベースにまで戻っていない状況が浮き彫りである。もう1つは資金繰り(順調割合-窮屈割合)であり、つい1年前まではプラス水準にあったものが、-13.8にまで下落している。これは、利益が出ていないうえに、ボーナス時期で人件費がかさむことが要因であるが、加えて、こうした厳しい状況では金融機関からの資金調達が思うにまかせない企業が少なくないことを示唆しており、これによる増幅もあると推察される。雇用状況(不足割合-過剰割合)も1年前とは様変わりであり、受注が低迷しているために「企業内失業」的な様相をうかがわせる。
以上のことから、フロー的には“持ち直し”だからといっても決して安心できる水準にまで戻っている状況ではなく、ボディーブローのように採算割れが企業経営に打撃を与えつつある事態を深刻に受け止めることが肝要である。配布資料の8頁にも記したが、「有効需要が見出せず、倒産増、失業者増に陥る不況スパイラル期」に陥るフェーズは是非とも避けたいところであるが、景気の2番底を払拭できる気配は依然として不透明である。
(注)DI:Diffusion Index.「上昇または増加等の企業割合(%)」から「下降または減少等の企業割合(%)」を差し引いた%ポイント

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