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当社は建築請負業者ですが、他の会社(元請)が受注した仕事の下請をさせてもらうことが多いです。このような場合に注意すべき点があれば教えてください。
元請業者が貴社に代金を支払ってくれなくても、貴社には直接、注文者に代金を請求する権利はありません。
下請業者は元請業者から仕事をもらっているという関係上なかなか元請業者に対し、苦情を言いにくいものです。しかし、せっかく仕事をしても代金をきちんと支払ってもらえないようでは会社としての死活問題であり、この点注意する必要があります。
下請代金の支払時期は、出来高に応じて、例えば毎月20日〆の翌月10日払いというように後払いであることが多く、支払手段も現金ではなく手形で支払われることも多いので、仕事をきちんと完成したのに元請から代金が支払ってもらえないというトラブルも多いようです。
しかし、注文者・元請間の請負契約と元請・貴社間の請負契約という2つの法律関係が存在し、貴社と注文者の間には直接の契約関係はありません。従って、元請業者が貴社に代金を支払ってくれなくても、貴社には直接、注文者に代金を支払ってくれという権利はありません。
建設業法が元請は前払金の支払を受けたときは、下請に対して、一定の費用を前払金としてとして支払うよう適切な配慮をしなければならないと定めていたり、出来高部分や完成後の支払を受けたときは下請に対して1月以内にその出来高相当分を支払わなければならないと定めるなど、弱い立場にある下請業者保護の法律もあります。しかし、元請業者が倒産したり、行方不明になってしまった場合には下請業者としては代金回収できなくなるおそれが高いということを肝に銘じておくべきです。
ですから、元請業者の資金繰りについては常時関心をもち、例えば、毎月の出来高払いの支払が遅れだしたときなどは、そのまま仕事を続けても大丈夫か注文者を交えて元請業者としっかり話し合いをする必要もあるでしょう。
また、下請代金が全額払われるまでは注文者に建物を引き渡さないという「留置権」の主張をするなどして、注文者と交渉することが必要な場合があるでしょう。