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経済統計を読み解く

日本経済の不況連関構造とその最大のネガティブ要因からいち早く脱却しつつある大阪経済

(2)輸出主導で不況から脱却しつつある大阪経済

そこで、貿易統計から外需の回復動向をたどってみる。図-2は日本の5大港と2大空港、および全国の輸出額について、昨年同月比の推移を示したものである。これをみればすべてに共通する動向は、昨年10月以降下落幅が拡大し、空港で1月、港湾で2月が底となり、3月以降は程度の差こそあれ、改善基調にあることがわかる。6月時点で最も回復が進展している港から順に挙げると、関西空港、大阪港、成田空港、神戸港の順となり、総じて大阪・関西圏の港と2大空港が上位に位置している。他方、回復の歩みが緩慢な港は名古屋港であり、まだ半分程度に過ぎないことがわかる。名古屋港や横浜港は輸出品目が自動車が3~5割を占める主力商品であるために、回復が遅れていることが推量される。


図-2 7大港に関する輸出回復力の推移

図-2 7大港に関する輸出回復力の推移

資料:財務省、各税関「貿易統計」


そこで、主力の商品群別にみて、6月時点での輸出回復状況(前年同月比)が芳しい商品群を順にあげると、科学光学機器や目新しい商品などが該当する“その他”が第1位で-21.5%、以下、化学製品:-24.1%、電気機器:-31.6%、原料別製品(鉄鋼、非鉄金属など):-32.5%と4品目が2/3以上の回復を実現している。他方、一般機械や輸送用機械では回復率は6割に達していない状態である。そこで、全国の6月時点での商品群別輸出回復状況を横軸にとり、縦軸には各港での商品群別の輸出額シェア(リーマンショック発生前の2008年前半)をとって、7大港の特徴を商品群構成とともに表現したのが図-3である。この図より、両空港や大阪港、東京港は回復力の強い“その他”、化学製品、および電気機器のシェアが高く、回復力の弱い輸送用機器のシェアが元来高くなかったことが確認できる。よって、これら4港のうち東京港を除いては、商品構成が着実な回復軌道をもたらしていることがわかる。その逆が名古屋港、横浜港と言える。


図-3 輸出品目別の回復力と7大港の品目シェア特性との関係

図-3 輸出品目別の回復力と7大港の品目シェア特性との関係

注:横浜港の品目シェアは2008年。東京港、成田空港の一般機械、電気・輸送用機器は東京税関
  統計をもとにした推計値。
資料:財務省、各税関「貿易統計」


つぎに、上と同様な視点を国・エリア別にあてはめてみる。6月時点での輸出回復状況(前年同月比)が芳しい順に主要な国・エリア(2,500億円/月以上)をあげると、中国:-23.7%、韓国:-32.2%、ASEAN:-32.6%、香港:-34.6%、台湾:-34.7%、米国:-37.6%、EU:-41.4%となっており、中国の回復が群を抜いていることがわかる(輸出額は540億円に過ぎないが、スイスは+35.3%)。そこで、同様に全国の6月時点での主要国・エリア別輸出回復状況を横軸にとり、縦軸には各港での国・エリア別の輸出額シェア(2008年前半)をとって、7大港の特徴を国・エリア構成とともに表現したのが図-4である。この図より、関西空港と神戸港は中国貿易で、大阪港は韓国貿易で他港を凌ぐシェアとなっており、全般にアジア地域との貿易シェアが高い傾向がうかがえる。よって、これら3港で輸出の回復力の高い理由は相手国構成によるものであることがわかる。逆に、東京港、成田空港、名古屋港では米国やEUのシェアが高いことが回復の遅れを招いていると言える。

以上の分析から言えることは、関西空港や大阪港は商品構成からみても、輸出相手国・エリアからみても、順調に回復している分野・エリアを得意としており、その意味で外需の急縮に大半の影響があった今般の構造不況から回復するスピードは大阪が他地域よりも速くなることが期待できよう。


図-4 国・エリア別の回復力と7大港の国・エリア別シェア特性との関係

図-4 国・エリア別の回復力と7大港の国・エリア別シェア特性との関係

注:横浜港の品目シェアは2008年。
資料:財務省、各税関「貿易統計」

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