『地域別設備投資計画調査』 日本政策投資銀行
2009年8月10日
国内総生産の15%前後を占める企業設備投資に関して、8月初旬に日本政策投資銀行から今年度と来年度に関する大企業や中堅企業(資本金1億円以上、ただし金融保険業などは対象外)の設備投資計画の調査結果が発表された。ここでは、地域別調査をもとに発表資料のポイントを示すとともに、県民経済計算を用いた分析を加えつつ、今後の大阪・関西経済に関する私の着眼点を示す。
(1)「2009年度 関西地域設備投資動向」のポイント〔発表資料より一部抜粋〕
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(2)私の着眼点
大阪・関西の地盤沈下傾向については、長らく枕詞的にすらなっていたが、その原因の1つに関西圏への設備投資が長期にわたって低水準にとどまっていたことがある。現に、府県別・地域別の民間設備投資動向が把握可能な県民経済計算によれば、2000~05年度にかけての関西(2府4県)の設備投資シェアは全国の13.0~14.6%であり、06年度に15.6%に上昇したものの、依然として域内総生産(06年度で15.8%)を下回る状態が続いている。
そこで、直近の設備投資動向をも把握可能な本地域別設備投資動向調査で公表されている「地域別業種別増減率」を用いて、基準年(ここでは2000年)の投資額を100とした場合の各年度の投資額の水準を累積的に求めた名目設備投資指数を算出し、地域間の比較分析を行うこととする。無論、本調査は全数調査ではないため、完璧性を期待することはできないが、地域別実態の概要・トレンドはある程度の精度で描き出せるものと考えられる。
全国10地域の内、投資額が約1兆円規模以上の6地域((注)参照)と全国について、全産業の指数動向を示した結果が図-1である(製造・非製造業別のグラフは参考図に掲載)。全産業については県民経済計算との対比が可能であることから、2000年度と06年度などについて比較考察した結果、おおむね傾向は合致しているが、本調査が大企業などが中心となっているために、自動車産業などの投資が活発であった東海や九州の製造業が他地域よりも高い投資水準に位置する傾向がうかがえる。
図-1 名目設備投資指数(全産業)

資料:㈱日本政策投資銀行「地域別設備投資計画調査」をもとに作成
注:東北は新潟県を含む。首都圏は1都3県、東海は岐阜・三重など4県、関西は2府4県。九州は沖縄県を除く。
上記のような調査精度の限界はあるものの、この図で注目すべき箇所は最近の関西への設備投資の活発さである。具体的に見てみよう。まず、2007、08年度の実績であるが、2年間にわたって投資水準が上昇しているのは関西のみであり(図には表示していないが北海道も該当)、しかも、その増加率も07年度は九州とともに20%超となっている。さらに、09年度計画に関しても、その下落率は5.1%に過ぎず、水準としては07年度よりも3.5%下回るに過ぎない。つまり、今年度も計画通りの設備投資が行われれば、関西のみが06年度と比較してほぼ2割増の水準で3年間も設備投資が持続することになるのである。
2000~06年度にかけての本調査での関西への投資額シェアは全国の12~13%に過ぎなかったが、07年度以降の3年間の平均はほぼ15%となり、2.5ポイント程度上昇している。県民経済計算における企業設備投資の関西シェアは本調査よりも2ポイント前後高い傾向にあることを踏まえると、07年度以降の関西の企業設備投資シェアは17~18%くらいにまで高まるものと推察され、域内総生産のシェアを上回る時期がようやく到来したのである。
長らく続いた大阪・関西の地盤沈下もこうした活発な投資が中小企業レベルをも巻き込みつつ持続して、投資された設備を十分に活用すれば、大阪・関西の地盤が上昇に転ずることが確実に期待されよう。
参考図-1 名目設備投資指数(製造業)

資料:㈱日本政策投資銀行「地域別設備投資計画調査」をもとに作成
参考図-2 名目設備投資指数(非製造業)

資料:㈱日本政策投資銀行「地域別設備投資計画調査」をもとに作成
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