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旧大阪都市経済調査会事務局通信

№01 ごあいさつ
着任後、半年あまりが経過しましたが、ようやく大阪都市経済調査会のホームページ開設にこぎつけました。まだ、一部の資料が揃っていない箇所もありますが、早急に揃えていくつもりです。全てが事務局:寺田亜紀さんの手作りで、通常業務の合間をぬって制作していただきました。ご苦労さまでした。

  さて、最近、平成16年事業所・企業統計調査の速報を用いて、大都市における中小企業の事業所数、従業者数の変化を分析していて愕然とする結果を発見しました。札幌市を除く6大都市と東京都区部について、従業員規模による中小企業の定義にほぼ沿うように集計して、3ケ年の変化をみると、いずれの大都市も事業所数、従業者数ともに減少しているのですが、大阪市の減少率が他都市の減少率のほぼ2倍になっているのです。具体的には、事業所数では大阪市:12.0%に対して他都市平均:6.1%、従業者数では大阪市:10.7%に対して他都市平均:5.1%なのです。

その内訳として、新規事業所の開設による事業所数や従業者数の増加割合をみると、大阪市は京都市に次いでワースト2ですが、他都市と比較してさほど大きな格差がある水準ではありません。この点を勘案すると、大阪市において廃業が突出して多いことがわかります。これに対して京都市は事業所の新設が最も低調であるものの、3ケ年の減少率は事業所数で6.0%と平均水準ですが、従業者数ではなんと3.4%と突出して低い水にあります。つまり、京都は少産少死型の産業構造であり、企業経営が厳しい中でも従業員を雇い続けている様子が全体として浮かんできます。

以前より幾度となく、雑誌や書物で「京都企業の強さ」を特集したものがありますが、京都の大企業が東京へ本社を移さないことと、上記の分析結果が私には2重写しに思えてきます。『世の中が世知辛くなった』と言われて久しいですが、経営が厳しくなったからといってリストラする企業が必ずしも成功するとは限りません。

最近、"ソーシャル・キャピタル"という言葉が徐々に使われるようになりました。直訳すると"社会資本"なので、道路や鉄道、下水道といったインフラを想定しがちですが、アメリカの政治学者パットナムは地域社会における信頼、規範、ネットワーク等としての精神的つながりこそが"ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)"であり、これらの協調的な行動を活発にすることで社会の効率性を高められるという考えを唱えています。まだ新しい概念なので、産業・社会的には具体的にどのように捉えるべきかハッキリしませんが、経営環境が厳しい次期に、互いに励ましあったり、会社間で事を融通し合うといった世知甘い(?)地域風土的なものもその1つかもしれません。

上記の統計で現れた大阪と京都の企業姿勢の違いが、産業・社会的な"ソーシャル・キャピタル"の違いにあるかどうかの確信はありませんが、本調査会は、産・学・官から構成される団体であり、"ソーシャル・キャピタル"の基本的構成主体が揃っていますので、互いに協力してその水準を高めていくことは可能であると考えます。無論、一朝一夕にできるものではなく、不断の積み重ねが必要であることは論をまたないわけですが、こうした視点から本調査会の活動を考えていくことも必要であると思います。

以上、ホームページの開設にあたり、最近、考えていることを綴りました。今後とも情報発信していきますので、是非とも覗いてください。
 
平成17年10月20日
文責:徳田 裕平(事務局長)
 
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