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ご意見番コラム


シネコンで小市民へ+αの満足を!

2009年7月1日
室長 徳田 裕平

先日封切られた映画「点の記」を家内とシネコンに見に行った。映画の内容はともかく、その時に館内で覚えた違和感から、確実に潜在する需要を見つけましたので紹介します。

開演前にあたりを見回すと映画のテーマからか中高年が7~8割であった。私たちの両側はともにカップルであり、左側は20歳代と思しき2人。楽しそうに会話しながらポップコーンを頬張っており、思わず「こうした若い人にも人気があるのかな?」と半ばうれしい気分になった。片や、右側は60歳前後と思しきカップルである。なんと同じようにポップコーンのバスケットとコーラを抱えていた。その風景を見て「滅茶苦茶、そぐわないなー」と強烈な違和感が湧き出てきたのである。
私は直感を信じる方である。「点の記」でも、香川照之演ずる劒岳地元の案内人:宇治長次郎が山の異変を直感的に感じて行動し何度も危機を救ったように、五感を通じてひらめく判断はほぼ間違いないと思う。

違和感の原因は、年配夫婦がポップコーンを頬張るシーンを日頃見かけないからである。ではなぜシネコンではそうなるのか? 理由は簡単。それしか売っていないから選択の余地が無いのである。

ここに無為に抑圧された食の潜在需要がある。もしシネコンの売店に団子や和菓子があれば、年配夫婦はそれを買っていたであろう。その方がカロリー的にもやさしいと思われるし、それ以上に彼らの味覚にマッチしているからである。

社会の豊かさを測る視点にはいくつかあるが、私は選択肢の豊富さが重要なポイントであると考えている。しかし、シネコンでのポップコーン漬けは選択肢が無い貧しい小世界なのである。シネコン自体が米国から輸入されたビジネスモデルであることは善しとして、そこで売られているおやつまで米国流に支配される必然性は無い筈である。

「高齢者にやさしい社会を」と言ってはいるが、まだまだ隅々の局面では高齢者排除型社会であることの一例である。時間的ゆとりがある高齢者が映画ファンになる可能性はかなり高いと思われるが、そうした潜在的需要を確実なものとするためにも、シネコンでの和菓子系物販の普及を期待したいところである。法律で禁じられたわけでもないのに、食べ物ぐらい好きに選ばせる度量をもつシネコンが生き残るような気がする。

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