来月20日には阪神西大阪線が延伸して“阪神なんば線”として衣替えします。約1年の間にJRおおさか東線、京阪中之島線と合わせ3つの新線が開通するのは大阪初のことでしょう。新たに3駅が設置され市内の駅数は240となります。駅密度では1.08駅/㎢に達し、東京23区を引き離してトップを快走中です。
阪神電鉄ではなんば線の利用客を81,000人/日と予測しているようですが、これは西大阪線の大阪市内駅乗降客数(平成18年度)の3.6倍に相当し、既存の利用客は様変わりに驚くでしょう。
次に、鉄道利用による環境・エネルギー面での影響について考えてみます。各種の旅客輸送機関に関して1人を1km運ぶのに排出するCO2を比較すると、鉄道が19gで最もクリーンな手段として他を圧倒しています【図1】。関西では電力の原発比率が高いので、エネルギー効率で比較しても最良なことは確実です。
こうした効率の良さは大量輸送手段であることが最大の理由ですが、鉄道関連企業は努力を積み重ねて効率を高めています。最もわかりやすいのは車両の軽量化ですが、それ以外に、回生ブレーキやVVVFインバータ制御の導入にも積極的です。簡単に言えば、回生ブレーキとはブレーキをかけた際にモーターを発電機として作用させ、発生した電力を回収する電気ブレーキ方式であり、VVVF制御のメリットは回生ブレーキの作動速度範囲を低速域にまで拡大できる点などにあります。これらの導入により、電力使用量を3割程度削減できるようです。関西の鉄道における導入率をみると、事業会社によってバラツキはありますが、より環境にやさしい交通機関をめざして新車両導入などを積極的に進めています【図2】。
電車で培われた回生ブレーキ技術は、ニッケル水素やリチウムイオンの二次電池を活用して、最近のハイブリッド自動車や電動アシスト自転車にも応用され、エネルギー効率の向上に寄与しています。環境対応自動車にも色々なタイプがありますが、モーター駆動車の最大の利点は回生ブレーキによるエネルギー効率の改善であり、最新版ハイブリッド車ではさらに効率が高まっています。
環境・エネルギー面で図1が示唆するポイントは、個人の意識・家計状態に依存する自家用車はともかく、民間や公共が事業者であるタクシー、バスについてハイブリッド車等の導入促進施策を講ずることで、鉄軌道の利用者拡大もあいまって大阪が最もクリーンで効率の良い旅客輸送体系を誇る大都市モデルとなり得ることではないでしょうか。
【図1】1人を1㎞運ぶのに排出するCO2の比較(2005年度)

資料:交通エコロジー・モビリティ財団「運輸・交通と環境2007年版」
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左グラフ
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【図2】主要私鉄・地下鉄における回生ブレーキ、VVVFインバータ制御の導入状況

注:2008年3月未時点 ※1:08年12月未時点 ※2:09年1月未時点
資料:各社ホームページ、電話ヒアリング、日本民営鉄道協会「環境と鉄道」
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