国や自治体が提供する公共サービスにおいて、民間事業者の創意・工夫を反映させることで、より良質・低廉な公共サービスを実現することを意
図した「公共サービス改革法(市場化テスト法)」が2006年に施行されて2年余りが経過しました。その後の状況を統計データで網羅的に確認することはまだできないので、今回は公共サービス分野においてどの程度、民間事業者が参入しているかを見てみます。
そもそも公共サービスは、自治体等が提供しているサービスに限定されるものではなく、対個人サービス、対事業所サービスと並列的な概念であり、公益的なサービス分野を指すものです。当調査会では、学校教育や福祉に加えて、医療業、学習支援業、政治・経済・文化団体、廃棄物処理業、放送業なども公共サービスに含めて捉えて定義しています。この定義に即して、2001年と06年の事業所数や従業者数の変化をみると、「社会保険、社会福祉、介護事業」(以下、福祉関連産業と呼ぶ)のみが著しい伸びを示しています。この背景には要介護者を社会全体で支える新たな仕組みとして2000年4月より介護保険制度が導入されたことがあります。
そこで、この分野に関して公営と民営の事業者の参入状況を大都市間で比較したところ【図1】、いずれの大都市においても民営割合が上昇しており、東京都区部以外は2006年ではその割合がほぼ8割以上の水準に達し、なかでも大阪市はトップクラスに位置しています。なお、公共サービス全体に関しても大阪市の民営割合はトップクラスです。
次に、福祉関連産業において、高齢者(65歳以上)人口あたりの当産業の従業者数を大都市間で比較したところ【図2、縦棒】、公営・民営合計の従業者数をみると大阪市は大都市の中間的位置にあり、逆算すると高齢者人口11人あたりで1人の福祉関連産業従業者の需要があることがわかります。次代の福祉関連産業の需要層として55~64歳人口を想定し、その人口と現高齢者人口とを対比させてみると【図2、折れ線】、大阪市は73.8%と最小であり、他都市よりは福祉関連産業の成長力は弱そうに思えます。
ただし、大阪市では2008年度に「提案競争型民間活用監理委員会」を設置して、公募※により民間ビジネス領域を拡大する方向にあるので、今後は福祉関連産業に限らず、公共サービス分野での民間市場がより一層拡大すると期待されます。
※大阪市が提案競争型民間活用(市場化テスト)の実施に向けて、企業のみなさまからの意見を募集
(11月25日まで)。詳細はこちら↓
http://www.city.osaka.lg.jp/shiseikaikakushitsu/
【図1】福祉関連産業における事業所数、従業者数の民営割合

資料:総務省「事業所・企業統計調査」
注:福祉関連産業:社会保険・社会福祉・介護事業(大分類:N、中分類:75)
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左グラフ
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【図2】高齢者人口に対する福祉関連産業従業者数と次代の高齢者人口比の状況

資料:総務省「平成18年事業所・企業統計調査」、「平成17年国勢調査」
注:高齢者人口:65歳以上の人口
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左グラフ
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