近年、わが国では多くの商店街が衰退しています。2002年時点での全国の商店街の動向を見ると、店舗数、従業員数、販売額、売場面積などすべてが減少しており、なおかつ商店街以外に立地する店舗も含めた小売店全体の動向と比較すると商店街の減少幅がより大きくなっています(図表1)。 大阪市も例外ではありません。 今回訪問した東成区の南西角には鶴橋駅があり、駅を取り囲むように6つの商店街・市場があります。このうち鶴橋商店街、東小橋南商店街、大阪鶴橋市場商店街(以下、これら3つを合わせて「東成鶴橋商店街」と呼ぶ)は東成区東小橋3丁目に位置しています(図表2)。 東成鶴橋商店街でもほかの多くの商店街と同様に販売額が大きく減少(ー19.3%:1997年~2002年の変化、以下同様)し、店舗数も減少(ー5.0%)しましたが、特に店舗数の減少率は市全体(小売店全体:ー14.4%、商店街:ー24.3%)と比較すると小幅にとどまっています(図表1)。
97~02年 変化率(%)
【東成区】小売店全体
【大阪市全体】小売店全体
【全国】小売店全体
AAAAA資料:経済産業省「商業統計表」より作成 AAAAA注1:東成鶴橋商店街とは、鶴橋商店街、東小橋南商店街、大阪鶴橋市場商店街(いずれも東成区)の3つを指す。 AAAAA注2:1997~2002年変化率(%)=(2002年の数値-1997年の数値)÷1997年の数値×100
【図表2】 鶴橋駅周辺の商店街配置図
資料:筆者作成
【図表3】 町丁目別飲食料品 小売店舗数トップ5(2002年)
資料:大阪市計画調整局HP「商業統計調査」より作成
さて、東成鶴橋商店街の小売店は226店舗ありますが、これは東小橋3丁目の全小売店の90.4%(226/250店舗)を占めています。 業種別に見ると、飲食料品小売店が77店舗あり、町丁目別では大阪市内第1位です(図表3)東成鶴橋商店街では飲食料品の中でも特にキムチやチヂミなど、韓国の食料品を扱う店舗が多く(20店舗以上)、 飲食料品以外にも民族衣装や小物などを扱う店舗が多数(10店舗以上)見られ、エキゾチックな雰囲気が漂っています。 ちなみに隣接する高麗市場(生野区)にも韓国の食料品を扱う店舗が20店以上、鶴橋西商店街(天王寺区)には焼肉店が10店以上立地しており、 鶴橋駅周辺は韓国の食と文化に関する一大集積地となっています(図表2)
先に見たように、ほかの多くの商店街が衰退している中で、東成鶴橋商店街では小売店舗が微減にとどまっていることから、同商店街はほかの商店街と比較すると高いポテンシャルを持っていることが分かります。特に韓国に関連する商品を取り扱う店舗は最近の韓流ブームが追い風となっているかもしれません。「ゼンリン住宅地図」を用いて東成鶴橋商店街の2001年以降の店舗立地を調べてみると、店舗の入れ替わりが多数見られ、なかでも韓国の食料品を扱う店舗の出店が多数(5店舗以上)見られました。ほかの多くの商店街の衰退をよそに、今後、空き店舗が発生した場合にもこうした新規出店者が現れ、飲食料品小売店舗数第1位の地位を維持し、個性ある商店街として活躍し続けることが期待されます。
大阪産業創造館までの時間距離