工業地帯と副都心が共存共栄!? ~製造品出荷額がもっとも多い区~
 
 
 
 今回は大阪市淀川区を訪問してきました。同区は市の北部に位置し、南北を淀川と神崎川に挟まれています。区内西部では、特に大手製薬工場など付加価値の高い製品を出荷する化学工場が多く立地しています。2003年の製造品出荷額等(以下、出荷額)は7,812億円と24区中トップで、製薬を含む化学工業のシェアは71.5%、5,585億円にも達しており、市内第2位の出荷額を誇る西淀川区(4,359億円)を上回っています(表1)。
【表1】 製造品出荷額 トップ5区(2003年)
  製造品出荷額等
製造業計
(億円)
うち化学工業
(億円)
構成比
(%)
 ①淀川区 7,812 5,585 71.5
 ②西淀川区 4,359 724 16.6
 ③東成区 3,008 845 28.1
 ④平野区 2,726 154 5.6
 ⑤此花区 2,596 470 18.1
 大阪市全体 42,628 10,906 25.6
資料:経済産業省「工業統計表」より作成
注1:全事業所が対象
注2:○中の数値は大阪市24区中の順位

 昨年、薬事法が大幅に改正され、製薬企業は自社で製造機能を持つ必要がなくなりました。そのため、製薬企業は外部への生産委託を加速させるとともに、経営資源をこれまで以上に研究開発に注ぎ始めました。淀川区内でも生産委託に伴う工場閉鎖や跡地を研究施設へ転用する動きが見られます。よって同区の出荷額は今後減少することが予想されますが、他方、新薬開発の成果がこうした工場閉鎖に伴い現れ、より高い付加価値を生み出すことが期待できます。

 このように、淀川区西部では化学工業に特化した工業地帯が形成されていますが、東部では1964年の新幹線開通以降、新大阪駅周辺に多くのビルが建設され、オフィス機能が集積するようになりました。淀川区の平均従業者密度(11157人/km2)は、都心6区(北、福島、中央、西、天王寺、浪速)よりも低いですが、新大阪駅周辺の密度を推計すると、30464人/km2となり、西区(28091人/km2)を上回る高い密度を誇っています(表2)。
【表2】 従業者密度 トップ7区(2004年)
  従業者密度
(人/km2)
民営事業所
従業者数
(人)
2004年
面積
(km2)
2002年
 中央区 50506 ①448495 8.88
 北区 37442 ②386778 10.33
 西区 28091 ③146075 5.20
 浪速区 13890 ⑧60701 4.37
 福島区 13081  ⑦61088 4.67
 天王寺区 12459 ⑨59805 4.80
●淀川区 11157 ④141029 12.64
  新大阪駅周辺 30464 67020 2.20
 市全体 9311 2065304 221.82
資料:大阪市「大阪市統計書」、総務省「事業所・企業統計」より作成
注1:○中の数値は大阪市24区中の順位
注2:従業者密度(人/km2)=従業者数(人)÷面積(km2)
注3:新大阪駅周辺の値(2001年)は、概ね駅から半径1km以内の町丁(宮原、西宮原、木川東、西中島【東淀川区は除く】)の第3次産業(卸・小売、金融、サービス業など)従業者数の総計
  オフィスビルの賃料で比較しても、新大阪駅周辺(11,071円/坪)は梅田や心斎橋・難波などには及ばないものの、船場(11,651円/坪)と同程度の高賃料となっています(表3)。これらのことから新大阪駅周辺は大阪市の副都心であると言えます。

 また、新大阪駅は新幹線の停車駅であることから、広域をマーケットとする事業所も数多く立地しています。新大阪駅周辺(半径1km以内)にはソフト系IT産業の集積が見られ(377事業所)、事業所数ベースの市内シェアは13.7%となっており、全業種に関する民営事業所数の淀川区の市内シェア6.0%を遙かに上回っています(表4)。

  【表3】
オフィスビルの平均賃料と平均空室率(2005年12月)
  平均賃料
(円/坪)
平均空室率
(%)
 梅田 15,070 5.30
 心斎橋・難波 14,680 6.65
 淀屋橋・本町 12,318 7.91
 船場 11,651 9.66
●新大阪 11,071 9.48
 天満橋・谷町 10,766 8.56
 南森町 10,653 7.92
資料:三鬼商事(株)HPより作成
 これは東京圏の顧客割合が高いというIT産業の特性と新幹線の利便性があいまって、新大阪駅周辺に集積したものと考えられます。東京ではビットバレーと呼ばれた渋谷にIT企業が初めに集積し、六本木ヒルズなどに拡大していきましたが、新大阪駅周辺は梅田や心斎橋・難波よりもオフィスビルの賃料が安く、空室が探しやすい状況ですので、淀川区は大阪でのIT産業の集積エリアとしてのポテンシャルがあると言えるでしょう(表3)。   【表4】 民営事業所数とソフト系IT産業の事業所数
  大阪市全体 淀川区 市内シェア
(%)
民営事業所数
(2004年)
203220 12179 6.0
ソフト系IT産業
事業所数
(2005年)
2750 377 13.7
資料:総務省「事業所・企業統計」、
   国土交通省「ソフト系IT産業の実態調査」より作成
注:淀川区のソフト系IT産業事業所数は
  新大阪駅周辺(半径1km以内)のみが対象
     

 大阪産業創造館までの時間距離

約35分
  西淀川区役所からの所要時間
  ※実際に計測。阪急電鉄、地下鉄利用。電車の待ち時間を含む
 
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