変わる!? 工業地帯 ~工業用地の面積がもっとも大きい区~
 
 
 
   今回は大阪市西淀川区を訪問してきました。同区は市の北西部に位置し、兵庫県尼崎市に隣接しています。西淀川区は三方を河川と海に囲まれており、工業用地として適していることから、古くから鉄鋼、金属、機械など重工業を中心とする工業地帯として発展してきました。比較的大規模な工場が多く(1工場あたりの従業者数15人[市全体の1.6倍]、出荷額4.6億円[市全体の2倍])、現在の土地利用状況をみても、工業用地の面積が24区中最大で、大阪市全体の16.7%を占めています(表1)。  
  【表1】工業施設の敷地面積 トップ5区
  2000年
工業施設         構成比
(100m2)           (%)
1992~2000年
増減率
(%)
 ①西淀川区 28716 16.7 -13.1
 ②大正区 21276 12.4 -6.5
 ③淀川区 15990 9.3 -8.1
 ④此花区 15866 9.3 -27.0
 ⑤平野区 13157 7.7 -2.7
 大阪市全体 171444 100.0 -11.2
資料:大阪市計画調整局「大阪市の土地利用」より作成
注:○内の数値は大阪市24区中の順位

 
 

 しかし、近年、大阪市の工場数は減少傾向にあり、西淀川区においても工場閉鎖や大規模工場の規模縮小などにより、工業用地が減少しつつあります(表1)。次に、2001年以降に発生した工場跡地の利用状況(表2)をみると、工業専用地域では、基本的に住宅や商業施設を建設することができないため、20区画の工場跡地のうち17区画(85%)が工場として再利用され、3区画(15%)が物流関連施設に転用され、2区画(10%)が空地・空工場となっていました(一部重複あり)。

 
  【表2】工業系用途地域における工場跡地の土地利用状況(2001年~2005年)
  2001年5月~ 2005年6月に工場が 消失・縮小した区画数 2005年の土地利用
別の工場 住 宅
戸建て  マンション
商業施設 物流関連施設 空地・空工場・駐車場
 準工業地域・
 工業地域
104(5) 48(1) 16(4) 10(2) 9 1(1) 25(2)
 工業専用地域 20(2) 17(2) - - - 3(2) 2
 合計 124(7) 65(3) 16(4) 10(2) 9 4(3) 27(2)
資料:「ゼンリン住宅地図 大阪市西淀川区」2001年5月発行・2005年6月発行をもとに筆者作成
注1:対象地域は西淀川区の工業系用途地域において工場が消失した区画(工場の規模が縮小した部分を含む)
注2:1つの跡地において2つの土地利用がみられた場合、両方の利用項目に計上しているため各土地利用項目の数値を総計しても総区画数とは一致しない。
  ()内の数値は跡地において2つの土地利用がみられた区画の内数。
注3:工業専用地域では住宅や商業施設を建設することができない。
 

 

 一方、準工業地域と工業地域では、104区画のうち工場に再利用されたのは48区画(46.2%)しかなく、25区画(24.0%)が空地・空工場・駐車場と低未利用地のままであり、有効活用されているものでは、24区画(23.1%)が住宅(戸建て:16区画531軒、マンション:10区画)へ、9区画(8.7%)が商業施設へと転用されていました(一部重複あり)。よって工業用地の減少が依然として続いていることが分かります。

 
   最近、国内では、海外への流出を防ぎたい中核的技術を有する工場などの新規立地や、それらに関連する設備投資が盛んになっています。また、工業は製品開発→完成した量産品の販売→メンテナンスの一連のプロセス中で、商業、サービス業、運輸業などとの連携が不可欠なため、ほかの産業を元気にする経済波及効果の高い基幹産業であり、加えて地域の雇用や新産業創出の担い手として重要な役割を果たしています。
 
 かつて大阪市では臨海部の工業専用地域の一部を除き、一定規模以上の工場の新増設が制限されていましたが、長年の要望が叶い、ようやく2002年7月にその法律(工場等制限法)が廃止されました。現在、空地・空工場となっている区画や今後発生する工場跡地へ市外の工場を誘致したり、市内からの移転を勧めることにより、工業用地の減少に歯止めをかけ、跡地を再び工場として活用することで、工業だけでなく、ほかの産業もあわせて元気になることが期待されます。
 

 大阪産業創造館までの時間距離

約35分
  西淀川区役所からの所要時間
  ※実際に計測。地下鉄、JR利用。電車の待ち時間を含む
 
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