動く橋? ~渡船場が最も多い区~
 
 
 

 今回は大阪市大正区を訪問してきました。大阪湾に面し、三方を木津川、尻無川、岩崎運河に囲まれているため、水運の便がよく、製鉄、造船など重工業が立地し、臨海工業地帯として発展してきました。大正区を取り巻く河川には、新造船や工場へ物資を輸送する大型船などが通行するため、架橋が困難であったことや、通勤通学などの移動需要があったことなどから、大阪市が「動く橋」として渡船を無料で運航し、歩行者などへ移動手段を提供してきました。

 現在、大阪市は8ヵ所で渡船を運航していますが、そのうち7ヵ所が大正区にあります(図表1)。渡船には歩行者と自転車が乗船可能で、通勤通学、買い物、観光など、さまざまな目的で利用されています。

 2004年度における大正区での渡船の利用者総数は約163万人(1日あたりの利用者数は4477人)ですが、利用者は減少傾向にあります(図表2)。その主な原因として2つ考えることができます。第1に、少子化による通学者の減少です。大正区、及び渡船で結ばれている隣接3区(港区、西成区、住之江区)の人口は過去5年間に2~5%減少していますが、高校通学者を含む15歳~19歳人口は10%以上減少しています(図表3)。第2に、産業構造転換に伴う事業所従業者数減少による通勤者の減少です。大正区では重工業の大規模工場が閉鎖されるなど、特に製造業の従業者数が大きく減少しています。渡船で結ばれている隣接3区でも従業者数は減少していますが、製造業の落ち込みは特に大正区で顕著となっています(図表3)。




 このように利用者が落ち込む中、大阪市では、地域住民に渡船場を再認識してもらうため、また観光目的など幅広く利用してもらうための広報活動の一環としてパンフレット「渡船場マップ」を発行しています(渡船場で入手可能)。こうした取り組みにより、大正区の観光客が増加し、飲食や購買などの消費が活発になることが期待されます。

 大正区は埋立地が多いため平地が多く、渡船を利用する人の90%が自転車を利用し、毎日約4000台の自転車が渡船場を行き来しています。また、幹線道路には自転車通行帯が整備されています。こうした特徴を活かして、例えば渡船場周辺で待ち時間に自転車をメンテナンスするサービス事業や、大正駅付近にレンタサイクルの拠点を設け、渡船を活用したサイクリングコースを開発して観光客を増加させる事業など、自転車関連のビジネスチャンスがあるかもしれません(図表2)。

 ちなみに私は「渡船場マップ」を手に、自転車で「大正区役所→②往復→③→⑦→⑧→⑥→平尾商店街(昼食)→⑤→④→区役所(図表1)」というルートを4時間半で走破しました(祝日に実行。昼食時間を含む)。
 

 大阪産業創造館までの時間距離

約50分
  大正区役所からの所要時間
   ※実際に計測。バス・地下鉄利用。
     バス・電車の待ち時間を含む
 
|大阪都市経済調査会 事務局 : osaka_econ@tyosakai.jp  (06)6264-9815 |
大阪都市経済調査会ホームページに掲載の文章・イメージなどの無断転載を禁止します。
Copyright (C) 2005. Urban Economic Research Institute of Osaka All Rights Reserved.