地代に「期待」がつくのは、収益価格が将来の期待(予測)される地代を期待還元利回りで資本還元して求めるものだからである(以下「期待」を省略)。
(1)差額地代の第Ⅰ形態(表Ⅱ-1):経済システムが閉鎖的な国内経済の下で、土地が大地主により所有されており、①農地では、人口増加により、農業生産物に対する需要が増加しつつある状態を、②宅地では、やはり人口増加により、工業・サービス生産物に対する需要が増加しつつある状態を、それぞれ前提とする。
①農地:第Ⅰ形態の差額地代は、資本と労働用役が別々の農地に投下される場合、相対的に優位な農地に発生する。相対的に優位な農地とは、自然的豊度(土壌の肥沃度等)による10a当り収量額と自然的位置(河川等による搬出入の利便度合い等)・人為的立地(インフラ整備による運送費負担割合等)がそれらの劣等な農地よりも優れているものをいう。
人口増加により、農業生産物に対する需要が増加すると、この場合には土地による制約が大きいから、それらの劣等な農地でも農業生産物を生産せざるを得なくなり、その農業生産物の個別的生産価格がその市場調整的生産価格となる。それ故、その市場調整的生産価格と相対的に優位な農地における農業生産物の低い個別的生産価格との差額としての第Ⅰ形態の差額地代が発生する。
②宅地:第Ⅰ形態の差額地代は、資本と労働用役が別々の宅地に投下される場合、相対的に優位な宅地に発生する。相対的に優位な宅地とは、自然的豊度(堅い地盤等)・人為的熟度(上下水道の整備度合い等)による㎡当り製品・サービス生産額等と自然的位置(河川等による搬出入の利便度合い等)・人為的立地(インフラ整備による運送費負担割合等)がそれらの平均的な宅地よりも優れているものをいう。
人口増加により、工業・サービス生産物に対する需要が増加すると、この場合には土地による制約が小さいから、それらの平均的な宅地で生産した工業・サービス生産物の平均的生産価格がその市場調整的生産価格となる。それ故、その市場調整的生産価格と相対的に優位な宅地における工業・サービス生産物の低い個別的生産価格との差額としての第Ⅰ形態の差額地代が発生する。
(2) 差額地代の第Ⅱ形態(表Ⅱ-1):前提条件は、(1) の差額地代の第Ⅰ形態の場合と同様とする。
①農地:第Ⅱ形態の差額地代は、資本と労働用役が同一の農地に投下される場合、相対的に優位な農地に発生する。相対的に優位な農地とは、(自然的)豊度(水利等の改良度合い等:自然的に括弧をつけているのは、人為的に自然の力を引き出す側面を捉えたもの)による10a当り収量額と人為的豊度(ハウス農業等による人為的な資本投下割合等)がそれらの劣等な農地よりも優れているものをいう。
人口増加により、農業生産物に対する需要が増加すると、この場合には土地による制約が大きいから、差額地代の第Ⅰ形態の場合と同様に、それらの劣等な同一の農地でも施肥等の投資により農業生産物を増産せざるを得なくなり、その農業生産物の個別的生産価格がその市場調整的生産価格となる。それ故、その市場調整的生産価格と相対的に優位な農地における農業生産物の低い個別的生産価格との差額としての第Ⅱ形態の差額地代が発生する。
②宅地:第Ⅱ形態の差額地代は、資本と労働用役が同一の宅地に投下される場合、相対的に優位な宅地に発生する。相対的に優位な宅地とは、(自然的)豊度(堅い地盤等)と人為的熟度(立体化・中高層化の度合い等)による㎡当り製品・サービス生産額等がそれらの平均的な宅地よりも優れているものをいう。
人口増加により、工業・サービス生産物に対する需要が増加すると、この場合には土地による制約が小さいから、それらの平均的な宅地で生産した工業・サービス生産物の平均的生産価格がその市場調整的生産価格となる。それ故、その市場調整的生産価格と相対的に優位な宅地における立体化・中高層化等による工業・サービス生産物の低い個別的生産価格との差額としての第Ⅱ形態の差額地代が発生する。
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