兄から経営を譲られた60歳代社長の後継候補である子息同席での相談であった。子息は3年前に入社した30歳代前半。
本業は成熟産業に属し将来の見通しは決して明るくないが、新たに取り組み始めた新事業が徐々に伸びてきている。
相談者の社長は前社長の下で現場一筋であったため、一抹の不安を抱えつつ経営しているので、そのうえで事業承継を考えると何から手を付けたらよいかわからない状況である。
そこで当館プログラムの「事業承継診断」を受診希望での面談であった。
眼が出つつある新規事業を将来の中核事業にすることが事業承継の前提であるので、それを達成するために大阪産業創造館が行っているサービス「トータルコンサルティング(常駐コンサルタントによるサポート事業)」を提案したところ受諾された。
これを受けるにあたっては後継者である子息が会社側担当であることを条件とした。「事業承継診断」はトータルコンサルティング実施後に行うこととした。
早速トータルコンサルティングをスタートさせた。新規事業で経営革新計画を作成し、大阪府からの認定を受けることを目標とした。半年間のサポートで経営革新計画策定作業の大部分は子息が担当し、無事認定までこぎつけることができた。
この作業を実施することが、子息の経営者に向けて大きく成長する機会を与えた。
トータルコンサルティングの終了を待って事業承継診断を実施した。各種資料や面談で明らかになった点を指摘した。
主な点は事業承継の目標時期を双方で確認し、それに向けて後継者である子息の教育・社内処遇、後継者の補佐役の育成と組織の見直し、社内諸規則の整備などに加え、最も重要なこととしたのは、前社長である兄とその直系(子ども)の持株比率が50%を超えているのでそれを是正することであり、今後の進め方を書面で報告した。
診断書で指摘したことは少しずつ取り組んでいる。
この相談内容を考えるにあたって参考となる事例をご紹介しています。
事業承継に必要な準備へのアドバイス、また行動のためのサポートを行っていきます。経営者・後継者どちらのお立場の方でも、お気軽にご相談下さい。