2011年1月19日
                           大阪産業創造館

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~「親の会社」に向き合う3ヶ月~先生は「後を継いだ」9人の若手経営者
 関西学院大学と連携協定、「後継ぎ」の学生に向けた講義が今春開講
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     廃業の理由が「後継者がいないから」は24.4%
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大阪市の中小企業支援機関「大阪産業創造館」は、関西学院大学と連携して
実家が事業を営む学生を対象に、自身も家業を継承した現役経営者が
講師となって、世代交代を機に展開する新規事業や業態転換などの可能性に
ついて解説する講義「次世代の後継者のための経営学」を今春から開講します。

講師にはさまざまな業界の若手経営者9人が登壇。
世代交代を機に、業態転換、新規事業、組織改革などの新しい取組みや
変革を実現した若手経営者が、各社の具体的な事例を交えて講義します。
また、各学生の家業を題材にしたグループワークも取り入れた実践的な
内容となっており、大学生の頃から経営者マインドや将来の人脈を醸成
することが目的です。

産業界において、長引く不況による高い廃業率が問題になっていますが、
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施した承継アンケートによると
「自分の代で廃業したい」と回答した企業のうち、理由を「適切な候補者が
見当たらない」とする企業は24.4%。年間に廃業する企業数は29万社の
うち7万社は「後継者の不在」による廃業と推定されています。
(出典:平成18年版中小企業白書<中小企業基盤整備機構>※)

財務的には経営継続可能であるにもかかわらず、後継者がいないために
廃業することで失われる雇用は毎年約20万人~35万人に上ると推定されます。

そこで、卒業生にオーナー経営者が多いといわれる関西学院大学と連携。
産業界とのネットワークを多数持つ大阪産業創造館が講師を紹介し、
このたびの開講に至りました。今回、登壇する若手経営者も
「継ぐ立場も継がせる立場もわかる自分たちだからこそ、家業の承継は
やり方次第でチャンスになることを若い世代に伝えたい」と語っています。

依然、中小企業にとって厳しい経営環境が続いていますが、
今後も後継者問題の解消に微力ながら寄与してまいります。

※平成18年版中小企業白書
http://www.smrj.go.jp/kikou/info/shinko/sinko/h18/018066.html

http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h18/H18_hakusyo/h18/html/i3210000.html

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■「次世代の後継者のための経営学」実施概要
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<形式>連携講座 ※連携協定締結に基づく

<単位>2単位

<対象>全学部、全学科 
※実家が家業を営んでいない学生も受講可

<期間>H23年度春学期(4月~7月) 2時限目11:10~12:40

<キーワード>
・事業承継はチャンスか(業態転換、組織改革、新規事業、事業再編・・・)
・先代から引き継ぐもの、変革するものとは
・経営資源の棚卸と価値の再検証
・将来の経営に活かすために就職先で体得しておくこと など

<カリキュラム(予定)> 

■4/13「次世代の後継者のための経営学」ガイダンス 
関西学院大学 定藤繁樹 経営戦略研究科教授

■4/20「後継者と創業者の大きな違い」
(株)ジークレスト 徳永 しんすけ社長(飲食業)
http://www.g-crest.co.jp/

北新地育ち。35歳。大阪梅田にレストランを3店舗(従業員30名)経営。
大学時代はアメフトに明け暮れ、広告会社の営業職として勤務した後、
母親が経営する店を25歳で承継。突然現れた二代目経営者に従業員の
目は厳しく、当初は事業承継のマイナス面ばかりが目に付いたが、
あるときからその意識が変わっていったという・・・

■4/27「名門洋食屋の新規事業と銀座出店」 
グリル梵 二井 靖之代表 (飲食業・食品関連)
http://www.grill-bon.com/

創業70年の老舗洋食店。靖之氏42歳は三代目。当初家業を継ぐ気はなく、大学
卒業後はゼネコンに就職するも一念発起。リッツカールトンなどで修行し、37歳
で入店。06年に持ち帰り用カツサンド専門店を堂島に出店し、北新地のおみや
ビジネスとして一躍注目される。08年の銀座出店を機に、歌舞伎座の売店や
JR東京駅のエキナカでも販売開始。世代交代を機に展開した新規事業の舞台裏を
語る。

■5/4 グループ討議 
大阪産業創造館 チーフプロデューサー 山野 千枝

■5/11「『共創共栄』の理念のもとに」
能勢鋼材(株)能勢 孝一社長 (金属加工業)
http://www.nose-sus.co.jp/

創業45年。先代で創業者の父親が急逝し、幼少の頃から継ぐと決めていた
ものの34歳の若さで急遽社長に就任。その後、「人や技術が変わろうとも
理念だけは次代につないでいける」として、社員全員が共有する経営理念を
策定。約90人もの従業員を率いる、若き二代目社長のリーダーシップはどう
醸成されたのか。試行錯誤の末にたどり着いた「人間力経営」について語る。

■5/18「事業承継の本質と後継者の使命」
後継者経営戦略研究所 大島 康義代表(中小企業診断士)
http://www.111kg.com/

事業承継の専門家。大学卒業後、父の会社(ホテル業)に入り、
後継者の道を歩みはじめるが、阪神大震災をきっかけに会社は
100億円近い負債をかかえ、10年間の試行錯誤の末、あえなく倒産。
「できることなら後継者時代の自分に伝えたい」との思いで自身の
体験を体系化。世の後継社長の参謀として活躍するコンサルタント。

■5/25「企業存亡の危機からの脱却」 
(株)カジテック 梶浦 昇専務(アパレル副資材商社)
http://www.e-kajiura.co.jp/

創業89年。大学卒業後、大手スポーツメーカー勤務を経て、93年に
28歳で父親の会社に入社。その後、大規模な貸し倒れが発生し
会社の存続も危ぶまれる状況に。危機的状況の中、社運をかけた
新商品開発と新規開拓の指揮をとる。「業界の常識や慣習」に挑んで
起死回生を果たした舞台裏とは?

■6/1「創業者との二人三脚 ~ 縁に支えられて」
(株)コンサス 代表取締役 土井 靖士(金属製品の製造販売)
http://www.consuss.co.jp/

創業22年。大学卒業後、外資系メーカーに勤務した後、29歳で創業まもない
父親の会社に入社。前職への未練や上司としての父親との接し方に葛藤を
感じながらも、ある父親の言葉で覚悟を決める。そして、その後に訪れた
大きな事業転換。同社の成長を後押ししたのは、前職や学生時代に培った
「縁」だった・・・

■6/8「~あなたはNOと言えるか~脱『慣習』脱『業界の常識』への挑戦」
(株)丸富 田村 義昭社長(クリーニング業)
http://www.o13.jp/

都市銀行勤務を経て、義父が創業したクリーニング業を29歳で承継。
問題山積だった「家業」を建て直し、「事業」に進化させるべく様々な
変革に挑む。しかし、その前に立ちはだかったのは、先代自身と
先代時代からの「慣習」と「業界の常識」だった・・・。
強い覚悟と決断力とで挑んだ会社改革の舞台裏と創業50周年を迎える
今後の展望を語る。

■6/15「老舗帽子卸のSPA(製造小売)への挑戦」
(株)栗原 栗原 亮社長(帽子製造販売業)
http://www.kurihara-corp.com/

創業89年。大手アパレルメーカーに勤務した後、26歳で入社し、
36歳で四代目社長に就任。卸売業一本だった業態から小売業への
進出を図るが、当時社内からの賛同は得られず孤軍奮闘での着手。
「自らが行動する」ことで少しずつ社内を巻き込み、商品管理などの
システム化も実現。今では自社ブランドと全国に約40店舗の
直営店展開で、若年層に圧倒的な支持を誇る。

■6/22「創業は慶応元年、老舗の『暖簾と革新』」
(株)宇治香園 小嶋 宏一専務(製茶販売業)
http://www.ujikoen.co.jp/

創業145年の老舗茶舗。「絶対に家業は継がない」と大学時代
から映画制作の世界にいた宏一氏が同社に入社したのは26歳のとき。
以来、日本茶を嗜好する新しい層を取り込むための奮闘が始まる。
「代々守っていくもの、変革するものは何か」。老舗企業の後継者だからこそ
感じる伝統の重みと次代につなげていくための挑戦について語る。

■6/29&7/6 「ファミリー企業の事業再編」  
日建産業(株) 濱口 健宏社長(鋼管製造業)
http://www.nikken-sangyo.com/

創業72年、三代目41歳。大手商社勤務を経て父が経営する会社に入社。
当時数十億の負債があった同社の三代目に32歳で就任。担当の銀行員の
「あなたの社長としての仕事は借金を返すことだけだ」の一言に奮起。
経営資源の徹底的な検証と、ダイナミックな事業再編により高収益体質に
転換。「家業の承継は絶好のビジネスチャンスだ」という同氏の真意は?

■7/13 学生による発表、総括 定藤教授

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【本件に関する問い合わせ先】

■大阪産業創造館 山野
TEL 06-6264-9915  yamano@sansokan.jp

■学校法人関西学院 広報室 増子(ますこ)
TEL 0798-54-6017

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