中小企業の経営者・起業家の皆様を支援する機関。大阪産業創造館(サンソウカン)

健康ビジネスをサポートする ヘルスケア・フロンティア

ヘルスケア・フロンティア 抗疲労・癒しプロジェクト 抗疲労・癒し産学連携マッチング webマガジン 健康食品開発相談窓口
webマガジン
コラム

サンソウカンコーディネーターのコラム

当館のコーディネーターがそれぞれ専門分野の最新動向を、
豊富な専門知識と鋭い先見眼で分かりやすく解説。

光と視覚の常識・非常識(その3)
色覚バリアフリー照明という考え方

人間の網膜には複数種の視細胞があり,明るい環境では,長・中・短波長の光に感度をもつL・M・S錐体という視細胞が働く(図1).この3つの錐体の反応により色覚が生じるため,人間の色覚は三色型色覚と呼ばれる.しかし色覚異常者ではその錐体のどれかを欠く(二色型色覚)か,もしくは機能が低下している(異常三色型色覚).さらに,問題のある視細胞の種類により,第1,第2,第3異常(順にL,M,S錐体に対応)に分類される.日本人男性では約20人に一人の割合で色覚異常が発生する.

L・M・S錐体を失うことはそれぞれ赤・緑・青の色感覚を失うことに対応しない.図2の色覚モデルにあるように,錐体の反応はその後,青黄反対色応答,赤緑反対色応答となる.L,M錐体の欠損はどちらも赤緑反対色応答を失うことになり,青黄と無彩色だけで構成される視野になる(図3).どちらも赤緑色盲と呼ばれるゆえんである.S錐体の欠損は青黄反対色応答を失い,赤緑と無彩色だけの世界になる(図3).

例えば二色型第1色覚異常ではL錐体を欠くため,M錐体やS錐体の反応に違いがなければ色を弁別できない.このような色の組み合わせは混同色と呼ばれ,xy色度図上の混同色線で表現される(図4).例えば図4の色Aは緑色,色Bは赤色で,正常者には全く異なる色に見える.しかし同一の混同色線上にあるため,二色型第1色覚異常者にとっては同じ色に見える.もし図と地(背景)がこのような混同色で構成されると,情報が見失われてしまう.図3の例で,花の赤と草の緑が同じ黄色になり,区別ができないことに相当する.

照明を変えて,例えば,色A’,色B’のように色を変化させることができれば,弁別可能になるはずである.私たちの研究室では,まずバリアフリー照明として適正を判定する指標を開発し,その指標に基づいて最適な光源のスペクトルを求めた.さらに,既存光源と色フィルターの組み合わせ,もしくは照明メーカーの協力を得てLED照明によってバリアフリー照明を実現した.さらに,その効果を被験者実験により検証した.このようにしてできたバリアフリー照明は部屋全体に施すのではない.必要に応じて点灯する補助照明として用いればよい(図5).比較的自由に波長が選べるLEDなどの新光源の用途としておおいに期待されている.


著者プロフィール
篠田博之(しのだひろゆき)氏

篠田博之(しのだひろゆき)氏

立命館大学 情報理工学部 知能情報学科 教授
http://www.hvcs.ci.ritsumei.ac.jp/
◆略歴
1989年3月 東京工業大学理学部物理学科 卒業
1991年3月 東京工業大学大学院総合理工学研究科物理情報工学専攻 博士課程前期課程 修了
1995年1月 京都大学大学院工学研究科建築学専攻 博士課程後期課程 修了
1995年2月 日本学術振興会特別研究員(PD)
1995年4月 立命館大学 理工学部 電気電子工学科 専任講師
1998年4月 立命館大学 理工学部 電子光情報工学科 助教授
1998年9月~1999年8月 米国ロチェスター大学客員研究員
2003年4月 立命館大学 理工学部 電子光情報工学科 教授
2004年4月 立命館大学 情報理工学部 知能情報学科 教授
現在に至る

◆専門分野
(1)視覚情報処理
(2)色彩工学
(3)照明工学,視環境工学
(4)心理物理学

編集人:北口 編集責任者:武坂

抗疲労・癒しプロジェクト 疲労バスターズ ヘルスケア マーケット レビュー 購読無料のwebマガジンへの登録はこちら
抗疲労・癒し産学連携マッチング

※問合せフォームから送信できない方は、kenkou@sansokan.jpへメールしてください。(@を半角に変えてください)